【九州場所】大関・琴桜が振り返るコロナ禍の新入幕「いきなり無観客だし、外出は国技館だけ」
大相撲九州場所10日目(19日、福岡国際センター)、大関琴桜(佐渡ヶ嶽)が幕内翔猿(追手風)を引き落としで下して9勝目。優勝争いのトップをキープしたこの日、27歳の誕生日を迎え、朝稽古後に「さすがに年齢も感じるけど、元気なまま相撲を取り続けたい」と笑顔を見せた。 九州場所は2015年の前相撲で初土俵を踏んだ原点。それから当時22歳だった20年春場所で新入幕を果たしたが、その場所は新型コロナウイルス感染症が流行した影響で、無観客で開催された。そこから一度は十両に転落したものの、20年九州場所で再入幕し、順調に番付を上げて24年初場所後に大関昇進を果たした。 誕生日を機に改めてこれまでを回顧した大関は「約4年間コロナ(禍)が長すぎた。新入幕でいきなり無観客だし、ある意味いろんな経験をした。あれだけ部屋にいることはないし、国技館にしか外出していなかった。(外出は)車を乗り降りするぐらいで、外の風は稽古後に駐車場で感じるだけだった」としみじみ語った。 厳しい時期を経て、今年の九州場所は、〝若貴ブーム〟に湧いた1996年以来、28年ぶりに全15日間で満員札止めとなる見通し。この日も看板力士である琴桜が土俵に上がると、観客席からひと際大きな歓声が飛んだ。ファンからの期待を背に、まずは11日目の小結若元春(荒汐)との一番に向けて「気持ちを切らさずに勝負していきます」と力を込めた。
加田晃啓