ロエベ、100万円超のヴィンテージ風レザーコート
そのアイテムを一瞥しただけで胸が射抜かれ、物欲を刺激される。素材や仕立て、装いの愉しみを喚起し、人生の起爆剤にもなる。今回紹介するのは、ロエベのダブルブレストコート。
長年愛用したかのような佇まい
手に入れた当初はスマートな面持ちをしていても、袖を通し着続けることで身体になじみ、経年変化の味わいやフィット感が増すのがレザーアイテムの醍醐味。革を“育てる”と語る人もいるように、表面に残る擦れや傷を自らのライフストーリーの痕跡とするならば、長く着れば着るほどアイテムへの愛着も湧いてくるというものだ。 ロエベのダブルブレスト仕立てのレザーコートは、サンド加工とポリッシュ仕上げで、しなやかなナパカーフスキンをヴィンテージ風に仕上げた珠玉の1着。まるで長年愛用したかのような佇まいで、「次の相棒はあなたですよ」と今にも語りかけてきそうな饒舌さで、所有欲を大いに刺激してくる。 左襟が折れているのも、クローゼットに仕舞っておいた名残のような気さえするから愛おしい。ミディアムウェイトのほどよい重量感は決して今風ではないが、これからの人生をともにじっくりと歩む最良の相棒になりそうだ。 ¥1,015,300(ロエベ)
TEXT=畠山里子 PHOTOGRAPH=Dai Yamashiro