イノシシ肉の利用促進へ 農福連携でペットジャーキー商品化 館山(千葉県)
館山市内で捕獲されたイノシシ肉を使ったペット用ジビエジャーキー「おいしし君」の生産が、地域の就労継続支援施設との連携で始まった。農福連携事業の一環で、捕獲されたイノシシの利活用促進に期待が掛かる。 今回連携するのは市内でイノシシ肉の精肉加工を手掛けるジビエ堂、コメ農家のまえだファーム、就労継続支援B型事業所kaiの3者。地域おこし協力隊の松坂義之さんが3者をつなげ「農福連携獣害対策プロジェクト(NFJ)」と題したプロジェクトを立ち上げた。 松坂さんによると、令和5年度の同市内でのイノシシの捕獲頭数は約2200頭。そのうち館山ジビエセンターで処理されたイノシシは約500頭となっており、脂が少ないなど食肉用として向かない約8割は焼却、埋設処理されているのが現状だという。そこでNFJは、3者がそれぞれの得意分野を生かし、ペット用ジャーキーにすることで捕獲されたイノシシの利活用率を高め獣害対策の促進につなげるのを狙いにしている。 それぞれの作業分担は、ジビエ堂でイノシシを解体するなど初期処理。就労継続支援B型事業所kaiが初期処理したイノシシ肉の乾燥、封入、ラベル貼り付けを実施。まえだファームが捕獲従事者としてイノシシを捕獲する他、コメの販売網を生かした商品の販売を担っている。 ジビエ堂では、これまでイノシシ肉のペット用ジャーキーを生産していたが、ジャーキーにする工程の作業負担が大きく、大量生産が難しく高額になりがちだった。今回、就労継続支援B型事業所kaiに依頼することで費用を抑え販売することを可能とした。 同施設としても作業がコンスタントにあることで、利用者たちの安定した収入にもつながっているという。 5日、同施設では施設内で乾燥させた肉の封入作業を実施。重さを量りながら乾燥肉を一つ一つ丁寧に封入しラベルを貼り付けていた。 施設を運営するアイルの羽賀幸子さんは「安定した作業は利用者の技術取得にもつながる。また地域との連携は福祉の理解につながる」と話していた。 おいしし君は道の駅グリーンファーム館山、JAグリーン館山店、海のマルシェたてやま、ふれあい神余の里の4カ所で販売。現在、販売先も募集しており、詳しい問い合わせは松坂さん(070―8399―8397)へ。