重要局面を迎える暗号資産──大統領選 × 流動性の緩和
米大統領選と金融環境の緩和が相まって、次の強気相場が生まれる可能性があるとファルコンX(FalconX)のリサーチ責任者、デビッド・ラワント(David Lawant)氏は語る。 ● 地殻変動的なイベントがしばしば、暗号資産市場のサイクル転換の引き金となる。2016~2017年のサイクルは、主に業界主導で、暗号資産はアーリーアダプター層を超えて普及した。一方、2020~2021年の上昇は、コロナ禍のかつてない金利引き下げが推進力となった。 今は、2つの強力な要因が収束しつつある。米大統領選と、リスク資産に対する世界的な流動性サイクルの始まりだ。この強力な組み合わせは、3月下旬以降、ほぼ5万8000~7万ドルのレンジにとどまっているビットコイン価格を破壊し、次の大きな市場の動きを引き起こす可能性がある。
大統領選は投票日が近づくにつれ、重要性が増す
今回の大統領選では、暗号資産にとって、いくつか初めての出来事が生まれている。主には、暗号資産が政治的な議論や選挙資金の調達に関する話題として浮上したことだ。さらにもう1つの興味深いトレンドは、ブロックチェーンベースの予測市場ポリマーケット(Polymarket)が、選挙結果の予測をリアルタイムで提供していることだ。ポリマーケットでは大統領選への掛け金が、10億ドルを超えている。 下図は、2つの要因の関係を示している。ポリマーケットでのトランプ氏勝利のオッズの変化と、暗号資産市場全体のパフォーマンスの指標となるビットコイン価格の変化だ。選挙の各段階は色分けされている。初期段階(6月26日以前)は灰色、トランプ氏の勢いが増した期間(6月末から7月末まで)は赤、ハリス氏のオッズが伸びた期間(7月末から8月中旬まで)は青、そして最終局面(8月中旬以降)は黒だ。 もし市場が暗号資産価格をトランプ氏勝利に直接的に結びつけているなら、上図のドットは、45度の傾きを持つ上昇線を描くはずだ。逆に、ハリス氏勝利なら、下降線を描く。しかし実際には、ドットは散らばっており、これまでのところ、選挙結果の予測と暗号資産価格には明確な傾向は見られない。 この傾向は、図のさまざまな色で表されたすべての局面で明らか。トランプ氏の勢いが強い局面では関係性はより強くなるが、それでもビットコイン価格の変動の20%以下しか説明できない。 だからといって、大統領選が暗号資産の価格変動にとって重要でないことを意味するわけではない。可能性は低くても、選挙日まで1か月を切った今、関係が強まる可能性はある。しかし、この一貫性のない関係は、他の重要な要因も暗号資産市場の価格変動を支配していることを示している。