重要局面を迎える暗号資産──大統領選 × 流動性の緩和
金利見通しは暗号資産価格の新たな体制を示唆
最近のグローバルな流動性のシフトは、暗号資産を含む世界中のマーケットを動かしている。米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げサイクルの好調なスタートと、中国の驚くべき市場刺激策が相まって、暗号資産の最近の価格上昇に拍車をかけた可能性が高い。 株式とは異なり、暗号資産には、さまざまな金利環境におけるリターンを測定するための過去のデータが不足している。 しかし、金利環境と暗号資産価格の関係を検証することは有益だ。下図は、1年から30年満期までの米国債利回りと実質FF(フェデラル・ファンド)金利を示している。参考として下の部分には、ビットコイン価格(わかりやすさを考慮して、対数スケールで表示)を掲載し、市場サイクルを色分けしている。緑は2016年から2017年、2020年から2021年の強気相場、赤は2018年、2022年の弱気相場を表している。 このチャートは、金利引き下げによるソフトランディング(現在の投資家のコンセンサス)が、暗号通貨にとって前例のないマクロ的な背景を作り出すことを示唆している。このシナリオは、業界主導の2016年から2017年のサイクルと、金利引き下げが要因となった2020年から2021年の急騰というコロナ禍の時代、両方とも異なる。 つまり、マクロ経済要因は短期的に暗号資産価格に大きな影響を与えるいることが予想される。暗号資産と広範なリスク資産の相関関係が強まっていることが、その証拠だ。
今後の見通し
レイバー・デー(9月2日)以降の暗号資産市場の流動性の低さは、市場が様子見モードになっていることを示している。地政学的な緊張や需給の不均衡などの要因が引き続き、市場に影響を与える可能性はあるが、2025年までの市場の方向性を最も明確に定義する2つの大きな要因は、米大統領選とグローバルな流動性の状況だ。今後1~3カ月は、これらのトレンドがどのように展開するかを明らかにするうえで極めて重要となる。 |翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部|画像:Shutterstock|原文:Crypto at a Pivotal Moment
CoinDesk Japan 編集部