台湾・屏東の池上文庫、移転の可能性 日本時代の木造建築活用した日本語図書館
(屏東中央社)南部・屏東県の日本語書籍を収蔵する図書館「池上一郎博士文庫」が入居している日本統治時代に建築された木造建築が、将来的に商業エリアとして再開発され、図書館は移転される計画があるとして現地の郷土史研究家などの間で議論を呼んでいる。県は、調整中の段階にあると説明している。 同図書館は台湾鉄路(台鉄)竹田駅前にあり、駅の旧貨物倉庫を活用。日本統治時代末期に竹田郷の野戦病院で院長を務めた池上一郎さんが晩年に同郷に寄贈した書籍を収蔵する図書館として、2001年に開館した。現在は図書館としての機能を持つ他に台日の文化交流の役割を担っており、観光スポットとしても知られている。 先月29日に同図書館を訪れた観光客は、訪問時に館内が暗かったため閉館していると勘違いしたとフェイスブックに投稿。その後、建物への電力供給が止められていることや、県政府が近隣の商業エリアと合わせた再開発を計画しており、同図書館が現在の場所から移転を余儀なくされる恐れがあることを知ったと紹介した。 中央社の取材に応じた竹田郷公所(役場)の鍾定豪さんは、建物に電気や水が供給されていないのは老朽化が原因であり、修繕が必要な状態だと説明。電気や水がないと書籍の保存や来館者にとって不便なため、蔵書を一時的に他の場所へ移すことを提案したと述べた上で、図書館を運営する池上一郎博士文庫研究学会の内部で意見がまとまっていないと明かした。 県側は、将来の最善の運営方法を調整中だとした上で、同学会が具体的な管理方法を示すことを望んでいるとした。 (黄郁菁/編集:田中宏樹)