イチローは代打のMLB記録を更新するのか
「忍者」と評されたメッツ戦でのホームへの走塁でイチローが久しぶりに存在感を示した。そのアクロバティックな動きをMLB.COMのジョー・フリサロ記者は「明らかにアウトのタイミングだったが、41歳の選手が、どういうわけかタッチを交わした」と伝え、そこには年齢を感じさせない、との含みがあった。 キャンプでは、それなりの調整機会を与えられ、途中出場して、2打数2安打、2盗塁といった活躍もあったが、開幕から5試合は代打のみ。 守備にもつかず、代走で出場することもなかった。 ユニホームが汚れることも少ない流れのなかで、突如スタメン出場の機会が訪れたのは、開幕から6試合目のこと。マーセル・オズナが、デイゲームの試合前に行われた打撃練習に遅刻。監督が懲罰的な意味合いを込めてスタメンを外すと、イチローが代役を務め、5番を打ったのだった。 イチローはその2日後にも先発出場。今度は2番で、レフトのクリスチャン・イエリッチが背中に張りを覚えたことが原因だった。イエリッチは前日の試合で頭上を超えるかと思われた打球を背走しながらがキャッチすると、そのままもんどりうった。それが原因かと思われたものの、イチローは、「1回から、動きがおかしかった」と話し、翌日の先発出場を想定していたようだ。 もっともマーリンズとしては、こうしたケースを想定してイチローを獲得しており、オズナのケースは例外としても、外野のレギュラー陣にちょっとしたケガ、疲れなどが見えれば、今後もイチローが代わってスタメンで出場するのだろう。 「イチローを控えに置いておけるなんて、贅沢だ」と、現役時代には相手捕手としてイチローに苦しめられて来たマイク・レドモンド監督。イチローがすべての守備位置を守れるだけに、監督にとっては起用しやすい。監督は17日も、調子が上がらないオズナをリフレッシュさせる意味で休ませると、イチローの名前がラインナップに書き込んだ。 ただ、開幕から5試合の起用が、現実といえば現実である。 ライトのジャンカルロ・スタントン、オズナ、イエリッチはいずれも若く、頻繁に休養を必要とするわけではない。それぞれ守備も非凡で、イチローをわざわざ守備固めで使う必要はない。マイアミ・ヘラルドの番記者クラーク・スペンサーも言う。 「マーリンズの外野手はGOODではない、VERY GOODだ」 となると、イチローは今後、どうなるのか。状況はいくらでも変わりうるが、3人のレギュラー外野手が、いずれもシーズン通してプレイするとしたら、イチローはある記録を作りうる。マイアミの地元メディアの間では少し話題になったが、イチローが、代打でのメジャーのシーズン出場記録を更新するかもしれないのだ。