関東・東北豪雨1か月 「1000万人都市」東京都の水害対策は?
関東・東北豪雨から10日で1か月が経ちました。この豪雨では、茨城県常総市の鬼怒川が決壊するなど各地に大きな被害をもたらしました。爪痕は今も残り、今も400人以上が避難生活を送っています。水害の怖さを再認識した今回の台風ですが、1000万人が暮らしている東京都では、どんな対策を講じているのでしょうか?
2013年の伊豆大島災害の教訓
東日本大震災以降、地方自治体の災害対策は地震に重点が置かれていました。東京都でも首都圏直下型地震に備えた対策が進められ、都知事選の争点にもなるほどです。今回の水害で、地震以外の自然災害に備える重要性が再認識されて意識も高まっています。東京都は、どんな対策を講じているのでしょうか?
「舛添要一都知事が就任してから、東京都では年4回の防災訓練が実施されるようになっています。その内訳は1月に帰宅困難者対策訓練、5月に風水害対策訓練、9月に総合防災訓練(震災)、10月に島しょ総合防災訓練(津波対策)です」(東京都総務局総合防災部) 東京都は、2013年に伊豆大島が台風で大きな被害を出しています。特に大規模な土砂災害によって多数の死者を出しました。そうした教訓から、行政が早めに避難勧告や避難指示を出すような方針に切り替えられています。 「伊豆大島の教訓は、東京都の豪雨対策基本方針にも反映されています。昨年に改訂された豪雨対策基本方針では、1時間に75ミリの雨が降っても耐えられるためのハードインフラの整備の必要性が盛り込まれました。同方針によって、堤防や調節池の整備、下水管を太くするなど、処理能力を向上させています」(同)
計54万立法メートル分の調整池
東京都が堤防や調整池の整備を担当しているのは、ハードインフラの建設は規模が大きくなるため、市町村や23特別区では難しいからです。東京都を流れる河川でも、荒川や江戸川は複数の都県にまたがるので国が管轄しています。 東京都は神田川や石神井川を所管しており、1997年から供用が開始された神田川の調整池は24万立法メートルの水を貯蓄できます。また、第二期工事で造成された調整池は約30万立方メートルの水を貯蓄できるため、合計54万立法メートルの水が貯水できるようになりました。この調整池によって、1時間に50ミリの雨が降っても道路が冠水するようなことはなくなったのです。 「それでも、近年はゲリラ豪雨が当たり前のようになってきています。東京都は被害を最小限に食い止めるためにハードインフラを整備していますが、どんなにハードを充実させて限界があります。防災・減災において、都民の意識を変えることも大事です。そのため、最近の防災対策はソフト面に力を入れる傾向が強くなっています」(同)