【問う 時速194km交通死亡事故】遺族側が控訴求める意見書を大分地検に提出 「量刑が軽く、納得できない」 妨害目的不成立も「明らかに不当」
大分市の時速194キロ交通死亡事故の裁判員裁判で、被告の男(23)=同市=に危険運転致死罪で懲役8年(求刑懲役12年)を言い渡した大分地裁判決を不服として、遺族側は4日、福岡高裁への控訴を求める意見書を大分地検に出した。遺族は「量刑が軽く、納得できない。高裁に判断を仰いでほしい」と述べた。 遺族側代理人の森脇宏弁護士(45)が同市荷揚町の地検を訪れ、担当検事に書面を提出。報道陣の取材に対し、「遺族は控訴ができないので、検察に権限行使を求める」と語った。 意見書は危険運転致死罪を認定した判決を評価しつつ、「懲役8年はあまりに軽い。この程度の刑罰に過ぎないとの認識を社会に広めることになる」などと主張。地裁が同罪の処罰対象となる「妨害目的の運転」を認めなかった点も「明らかに不当」と強調した。 遺族らが共同代表を務める「高速暴走・危険運転被害者の会」も同日、控訴の要望書を大分地検と福岡高検に提出した。妨害目的の不成立について「重大な事実誤認。妨害目的が認められないから、量刑が軽くなった」と指摘した。 地裁によると、控訴の期限は12日。検察側と被告側はいずれも4日午後4時時点で控訴していない。 <メモ> 事故は2021年2月9日午後11時過ぎ、大分市大在の県道(法定速度60キロ)で発生した。当時19歳だった被告の男は、乗用車を時速194キロで走らせ、交差点を右折してきた乗用車に激突。運転していた同市の男性会社員=当時(50)=を出血性ショックで死亡させた。11月28日の大分地裁判決は、過失運転致死罪に当たると訴えた被告側の主張を退け、「わずかな操作ミスで事故を起こす危険性があった」として危険運転致死罪の成立を認めた。