イギリス女性閣僚のスタイルで占う ミレニアム世代がリードする“明るい”新政権とは
ヴィクトリア・スターマー夫人
国政のリーダーとなった夫のスターマー党首に連れ添い、ファーストレディーとして初めて姿を現したヴィクトリア夫人は、労働党のシンボルカラーである赤いドレスで登場。愛用する「ミーアンドエム」をハレの場に選んだ。開票日の前日も同ブランドをセレクトしており、ワイドパンツに白いスニーカーのラフなスタイルに、クリーム色のボックスジャケットを合わせた。
イブニングやフォーマルウエアを着て正装する場には、「エデライン リー(EDELINE LEE)」をよく選んでいる。同ブランドが特徴とするのは、女性が服を着ていて“高いレベルで機能できる”よう、シワになりにくい生地を使用していることだという。昨年10月の党大会では赤いドレスを、観劇時には全身を覆う黒いコートに白いトップスと黒のパンツを合わせた。
ミレニアル世代が集まる新政権
新政権の閣僚は前政権よりも若く、収入が少ないミレニアル世代が多く選出されていている。保守党による長年の主導権を手に入れた彼らは、自分たちを変革者として次世代へリードする必要性を、自らのスタイルで表現することで感じているのかもしれないという見方もある。
ロンドンを拠点に活動するスタイリストのピーター・ビヴァン(Peter Bevan)は、政治家たちの「ミーアンドエム」のカラフルな服の選択についてこう分析する。「職務の真面目さを損なうこととなく、スターマー政権の個性的な方向性によく合っている。誇張されたシルエットであれ、プレミアムな生地であれ、仕事着に対するユニークなアプローチだ。『ホッブスロンドン(HOBBS LONDON)』や『カレンミレン(KAREN MILLEN)』よりは落ち着いたデザインではあるが、プロフェッショナルでまとまった印象がある」。
また、「ミーアンドエム」はハイストリートブランドでも高級デザイナーズブランドでもなく、リーズナブルなブランドであることも彼女たちが着用する理由に挙げる。ブラウスやスカートが500ポンド(約10万1500円)以下で購入可能だ。「フォーマルウエアで出勤する国民ももはや多くないため、よりドレッシーな内閣に好感を持つ人も増えるだろう。新政権の閣僚たちは、プリント柄や多色使いのウエアを着ることで個性を輝かせることを奨励しており、彼らの服装についてはルールがないように見えるし、政府の一員であるよりも一国民のように親しみやすささえ感じることができる」とビヴァン。