声優・市川太一×岡本信彦×内田雄馬がアニメ『神之塔』語る 「ぜひ自分の推しキャラの勇姿をチェックしてほしい」
大切な女の子・ラヘルを探すために伝説の塔に入った少年・夜が、仲間やライバルたちと出会い、階層ごとにある過酷な「試験」をクリアしながら頂上を目指す冒険ファンタジーアニメ「神之塔 -Tower of God-」(第二期「神之塔 -Tower of God- 工房戦」が毎週日曜深夜11:00-11:30/TOKYO MXほかで放送中)。その原作はLINEマンガの連載作品で、複数言語に翻訳され、グローバルに絶大な人気を誇る大人気作。 2020年にTVアニメ第一期が放送され、2024年7月からは第二期が放送中。第二クール目に突入している現在は、激しさを増す「工房戦」の様子が描かれている。今回は、主人公・ビオレ(夜)役の市川太一をはじめ、ビオレの親友であるクン役の岡本信彦、第二期から登場した王野を演じる内田雄馬の3名のキャストに、ここまでの展開と今後の見どころについて語ってもらった。 【写真】市川太一×岡本信彦×内田雄馬、おちゃめなポーズの3ショット ■ビオレの頭よりも先に体が動く行動力はうらやましい ――第二期も2クール目に入りましたが、演じられているキャラクターの変化や成長はどのように感じていますか? 市川太一(以下、市川) ビオレに関しては、第一期と比べると大きくキャラクター性が変わりました。第一期の夜(ビオレ)は、力も自信もなくて、ただラヘルに会いたいという一心で塔に入り、クンをはじめ周りに支えられてようやく試験をクリアすることができた感じでした。でも第二期は第一期から6年の歳月が流れていて、仲間を守れるほどの強さを手に入れました。その一方で、仲間の命と引換えに半ば強制的に「FUG」という組織に所属させられ、ジュ・ビオレ・グレイスという別人として素性を隠しているので、ほかのキャラクターとの距離感はちょっと遠いですし、あまり感情を表に出さないようにしているんです。ただ、2クール目に入ってからようやく「夜」本来の情に厚いところも垣間見えるので、そういった細かな変化をすごく意識して演じるようにしています。 岡本信彦(以下、岡本) クンはミステリアスでクールなので、一見すると非情にも思えるんですけど、じつは情に厚いところが魅力的なキャラクターで、そこはストーリーを通じて一貫しているなと思います。ただ、第二期に入ってからのクンは夜に対する感情がより強くなっている気がします。ラヘルのことも含めて、すべて夜のために行動していて、だからこそいつもより非情に振る舞おうとすることもあるんですけど、たまにその目論見が失敗することもあって、そこが可愛かったりもするのかなと思うようになりました。 内田雄馬(以下、内田) 王野は第二期からの登場ですけど、弱肉強食で、勝つために騙し合うことがあたりまえの世界で、彼は「素直な人の代表」っていうキャラクターです。裏表がなくて思ったことをストレートに口に出しますし、泥臭さもあって、見ていて気持ちのいいキャラクターですね。けっこうエグい展開も多い作品ですけど、王野が登場するだけでちょっと明るい雰囲気になるじゃないですか。ビオレやクンのようにめっちゃ強いというわけではないんですが、そういうところが愛される理由なのかなと思います。 ――それぞれ、ご自身と似ている点はありますか? 市川 自分ひとりでなんとかしようとするところは僕も同じで、共感できますね。頼ってしまうとその人の負担になってしまうんじゃないかと思ってしまうんです。逆に違うのは、僕は最初に目標を立てたら、そこから逆算して計画を練るタイプなんですが、ビオレは先に身体が動くタイプで、その行動力は羨ましくもあります。 内田 僕はあんまり王野とは似ていないと思います。ただ、自分の夢のためならどんなに泥臭くてもいいからチャンスを掴みに行こうとするその姿勢はカッコいいなと思います。 岡本 そういえば、ビオレに対してもいきなり土下座してたよね(笑)。 内田 そうそう。目的にもよるんですけど、自分が持っているものを躊躇なく捨てられることって大事だと思うんです。あの場面で、プライドを捨ててでも目的を優先した考え方っていうのは、僕は嫌いじゃないですね。 岡本 これは完全に想像ですけど、きっとクンは将棋とかボードゲームが好きだと思うんです。僕も好きなので、共通点はそこですかね。あと、いつもカバンの中にチョコレートが入っているところ(笑)。逆に「これは真似できないな」って思うのは、プライベートでカッコつけることです。芝居ではいくらでもカッコつけますけど、私生活で誰かの耳元で囁くとか、僕には絶対に無理ですね(笑)。 ――クンはずっと自分を演じ続けている感じですよね。 岡本 そうだと思います。ずっと「ON」なんですよね。だからこそ彼の思惑が外れた際のリアクション芝居は大事にしていて、いい意味でギャップが出せたらと思ってやっています。 ■早見沙織さんの演技力に殴られる感覚があった ――ここまででとくに印象深いシーンはどこですか? 岡本 これはいろいろなところで言っているんですけど、ラヘルとの会話シーン全般です。笑顔で被害者を装うラヘルのことが本当に怖くて、収録の際は密かに震えてましたから(笑)。 内田 それに、早見沙織さんの声がもっている、安心させるちからというか芝居の説得力と相まって凄く…。 岡本 そうなんですよね。声だけ聴くと「ありがとうございます!」って思うんですけど(笑)。 市川 ラヘルは早見さんの声でかなり得をしている気がしますね。 岡本 そうですね。ただ実際に対面で収録させていただくと、早見さんの演技力に殴られる感覚があって、それが印象に残っています。ラヘルのあの底知れない感じがあまりに怖くて、僕としては「ラヘルは絶対にここで殺しておいたほうがいいぞ」って思っていました(笑)。 内田 僕は王野が所属する「チームらーめん丸」との絡みはどれも印象的です。最初こそ寄せ集め感があってややバラバラだったんですけど、だんだんとチームとしてまとまってきて。とくにクンが加入してからの流れはすごく好きですね。やっぱりこの塔はひとりの力ではどうにも攻略できないですから、仲間ができて繋がっていくという展開はアツいですよね。 市川 僕は第一期のラストで、ラヘルに突き落とされて落ちていくシーンが忘れられません。じつは第二期でもビオレが高いところから突き落とされるシーンがあるんですけど、それが第一期のシーンとうまく対比されているんですよ。 内田 ビオレって突き落とされがちというか…。 市川 ですよね。でもそこから見える景色が第一期と第二期でまた違うので、そこはぜひ注目してほしいなと思います。 ■クライマックスはリップルレッゾのとあるセリフに注目… 「一秒も見逃さずに観てほしい」 ――この三人の掛け合いということで言えば、第二期ではビオレとクンが分断されているために、王野とビオレ、王野とクンという組み合わせが多いですよね。 内田 王野は誰に対してもまっすぐですし、しかも熱量のある男なので、逆に温度感が低めのふたりとは掛け合いの相性はいい気がします。どっちも熱いと衝突しちゃうと思うんですけど、ビオレもクンもどちらもしっかりと受け止めてもらえるので、演じていても安心感がありましたね。 岡本 クン的にも楽しかったと思いますよ。けっこう強めな言葉をぶつけても引かないでつっこんでくれますから。夜を相手にしていたときは友達として“引っ張る”という意識が強かったと思うんですけど、王野に対してはイジることもあって、会話そのものを楽しんでいる感じもするんですよ。 内田 「ワンショット・ワンオポチュニティ」ゲームのときは、いきなり銃を突きつけられたり、訳も分からず走らされたりしましたからね。 岡本 狙撃されるリスクがありつつ街中を走れとか、王野からすればけっこうな無茶振りだけど、でも彼はやってくれるんですよね。 市川 ビオレとしても、周りからはスレイヤー候補として警戒されたり恐れられるなかで、王野だけはひとりの人間として接してくれる感覚があって、ビオレとしてもすごくありがたい存在だったんじゃないかなと思います。言葉として感謝を口に出しているわけではないですが、きっとそう思っていると思います。 ――「工房戦」もいよいよ佳境を迎えています。クライマックスに向けての見どころを教えてください。 岡本 すごく個人的な興味にはなるんですけど、リップルレッゾのとあるセリフに注目しています。演じている高橋英則さんも収録前に「どうしよう?」ってかなり迷っていて。それがどのセリフで、どんな表現になっているのか、みなさんぜひ楽しみにしていてください。 内田 バトルもすごく激しくなってきて、みんな本当に身体を張ります。とにかくビオレを取り戻そうと、みんなで繋いでいく姿が描かれるので、一秒も見逃さずに観てほしいと思います。王野的には、この記事が掲載されるときまで戦線に残り続けられていることを祈るばかりです。 市川 内田さんのおっしゃる通り、それぞれのキャラクターが自分の持てる力のすべてを発揮して次へと繋いでいく姿が見どころになると思います。どのキャラクターにも見せ場があるので、ぜひ自分の推しキャラの勇姿をチェックしてもらいたいです。 ――ありがとうございました。 ◆取材・文/岡本大介