“新世代”2026年のF1に、KERS的機能が復活? 「オーバーライド」システムが、技術規則改訂版に記載
2026年からのF1は、現行のパワーユニット(PU)からMGU-H(熱エネルギー回生システム)が外され、エンジンとハイブリッドシステムの出力比が均等になる予定だ。これと同時に、F1にハイブリッドシステムが導入された初期に使われていたKERSのようなブーストシステム「オーバーライド」が搭載されることになるようだ。 【ギャラリー】角田裕毅、ホンダウエルカムプラザ青山に登場 2014年から使われてきた現行規格のF1パワーユニットは、2025年限りで歴史に幕を下ろし、2026年からは新たな規格のPUになる。ターボチャージャー付き1.6リッターV6エンジンはそのままながら、出力が削減。一方で扱える電力は、150kWから350kWに増すことになっている。 この方式では、現行のようにブレーキング時に回生するだけでは電力量が足りなくなってしまうため、エンジンの全開時間を増やすことで発電量を増すという形になる予定である。そしてさらに、この電力を活かす場面が増やされることになるようだ。それが、「オーバーライド」と呼ばれるパワーブースト機能だ。 これについてはまだ詳細が発表されていないものの、3月29日に更新版が発表された2026年のテクニカルレギュレーションには、「オーバーライド」の文字が追加され、説明が加えられている。 第5.4.8条の1項には、車速345km/hまでの間には、使える電気エネルギーの最大量が車速に応じて段階的に引き上げられることが規定されている、また同条の2項には「オーバーライド」の記述があり、最大355km/hに達するまでのパワーブーストとして使えるとされている。 この「オーバーライド」は、電気エネルギーのデプロイ(電気エネルギーをどう使うか)に戦略的な側面を追加することとなり、ドライバーは使えるようになった時にいかにそれを使うか、そしていつ使うかということを決断しなければいけない。 これは2009年から2013年までの間にF1でつかわれていたKERSと似た概念であり、ドライバーはそのエネルギーを攻撃、防御、またはペース向上のために使うこととなる。 ただ2026年からは、ただでさえ電力量が不足することになると考えられているため、常に「オーバーライド」を使えるわけではないことを意味している。つまり、電気エネルギー量が潤沢ではない状況で「オーバーライド」を使ってしまうと、その周回もしくはその次の周回に、エネルギー不足に陥ってしまうリスクがある。 「オーバーライド」は、短期的に見ればライバルとのバトルを戦う上での重要な要素となるだろう。しかしF1で勝つためにはその瞬間だけではなく、その先の展開も見据えてエネルギーをマネジメントしなければならない。 新しい要素の「オーバーライド」がレースを面白くすることになるのか、あるいはそうはならないのか? 注目を集めることになるだろう。
Matt Somerfield, Charles Bradley
【関連記事】
- ■アストンマーティンF1がニューウェイに巨額のオファーを提示? ホンダに続き、チャンピオンに向け重要なピース獲得を狙う動き
- ■日本初開催フォーミュラEで日産がポールポジション! 好調ローランドが東京E-Prixを先頭からスタートへ
- ■角田裕毅、ハースの戦略を賞賛「トップ5チームが抜け出す現状では、あれくらいアグレッシブにいかないと入賞できない! 尊敬すべき戦略でした」
- ■F1日本GPで使用“ドライバー応援のぼり”、開催後にチャリティ販売が決定。推しの巨大のぼりを手に入れるチャンス!
- ■フェラーリ、今年はもうタイヤ“サバイバルモード”からはオサラバ! 「より予測しやすく一貫性あるマシンになった」とバスール代表語る