【阪神】大山悠輔が意地見せる 9回6号ソロで2点差に 鳴尾浜での期間を無駄にせず復調の兆し
<広島7-5阪神>◇4日◇マツダスタジアム 4番が意地を見せた。阪神大山悠輔内野手(29)が捉えた打球は、左中間スタンドへ吸い込まれた。3-3の8回に救援陣が4失点。その直後の9回表に1点をかえし、主砲の6号ソロで2点差まで迫った。まだ諦めない-。渾身(こんしん)の1発だった。 3-7、完全な敗色ムードで最終回を迎えた。だが先頭の近本が中越え三塁打を放ち、3番前川の二ゴロ間に1点をかえした。そして大山だ。広島6番手黒原に対したフルカウントからの6球目、140キロの外角高めの変化球を振り抜いた。左中間へ高々と上がった打球を見つめたが、表情は変えることなくダイヤモンドを周回した。「反省する部分も多いので、しっかり反省して明日の準備をします」。敗戦に笑顔はなかったが、虎の爪痕を残した。 ベクトルは上向きだ。2軍再調整を経て6月21日に1軍復帰すると、翌22日のホームDeNA戦で左翼へ4号ソロ。30日は敵地神宮の右中間に5号ソロを運び、左、右、左と10試合で3本塁打をマーク。昇格後の打率も2割7分5厘とし、復調を印象づけている。 鳴尾浜での時間を無駄にしなかった。不振で6月5日に出場選手登録を抹消。即日2軍残留練習に合流し、精力的に汗を流した。11日に2軍オリックス戦で実戦復帰。試合後も居残りで22歳の遠藤と打球補を繰り返した。左右に振られ、飛び込んで起き上がるとタテジマは真っ黒。それでも笑顔で声を出して後輩を引っ張り、小麦色に焼けた額から大粒の汗を流した。 「責任感はすごく感じています。(1軍に)戻った時に戦力として、チームのためにできるように、今この時間を大切にやっていきたい」。朝早く来て筋力トレーニングに励み、その後もノックや打撃練習、試合、再びノックや室内打撃と、朝から晩まで手を抜かなかった。「僕が1年目、2年目、鳴尾浜で野球した時のことを思い出します。初心に戻るじゃないですけど、そういった時の気持ちを思い出すのも大切なのかな」。ひた向きに練習する主砲の姿は後輩の目にも焼き付いていた。 今日5日からは甲子園に戻って2位DeNAと3連戦。虎将史上単独トップとなる岡田監督の通算515勝を、そのバットで飾る。【村松万里子】