阪神の優勝を支えたドラフト戦略、「目玉」でなくても役割・ポジションで上位指名 補強から育成へ、「生え抜き」の成長で目指す常勝チーム
2019年は岡山・創志学園高の西純矢投手や大阪・履正社高の井上広大外野手ら高校生を中心に指名。中長期的な視点に基づき、勝ち続けられるチームをつくるための選択だった。 ▽育成方針の確立 選手の育成については、月に1度の会議で意思統一を図っている。フロント、スカウト、2軍指導者らが、若手選手一人、一人について議論する。投手のフォームを変更させる際には、レーダーを用いて弾道などを精密に測定する機器「トラックマン」を活用して、腕や指の角度まで細かく分析。精神論での指導は徹底して排除し、スタッフ全員で選手の将来像を共有した。 データなどの根拠に基づいた合理的な育成によって、独立リーグ出身の湯浅京己投手や石井大智投手も1軍の戦力へと成長を遂げた。さまざまな取り組みが実を結んでの優勝に、あるスカウトは「急に(チームを)変えることはできない。地道にやるしかない」と万感を込める。 今回のドラフトは大学生の好投手がそろっている。フロントの判断に任せる方針の岡田監督は「どこも上位はピッチャーになるんちゃう」。ドラフト巧者がどのような戦略を描くのか、今年も目が離せない。