シャンパンについて講演するなど海外でも活躍した服部幸應さん＝1997年撮影

フジテレビ系「料理の鉄人」の解説などで活躍した料理評論家、服部幸應（はっとり・ゆきお、本名・染谷幸彦＝そめや・ゆきひこ）さんが4日に死去したことが5日、分かった。78歳だった。自ら理事長を務める東京・千駄ケ谷の服部栄養専門学校で倒れ、搬送先の病院で死亡が確認された。病死とみられる。母親の死去を受け、32歳の若さで同学校の校長に就任。料理界の地位向上のために積極的にテレビ番組に出演し、食育推進のために内閣府で委員を務めるなどして食育基本法の成立にも尽力した。 【写真】木村拓哉やTOKIOが服部幸應さん追悼「料理の楽しさ、食事の大切さを教えていただきました」 数多くのバラエティー番組に出演し、柔和な笑顔と温かみのある言葉で、料理に対する愛情や情熱を惜しみなく注いだ服部さんが突然逝った。 捜査関係者などによると4日午後4時45分頃、服部栄養専門学校職員から服部さんが倒れていると119番通報があり、都内の病院に救急搬送されたが、同6時半に死亡が確認された。亡くなる直前まで料理界の発展に寄与し、子供の食育推進に尽力するなど活躍していただけに料理界にはショックが広がっている。 服部さんは1970年に立大を卒業後、父、道政さんが創立した料理学校の名門、服部栄養専門学校で広報担当を務めていたが、当時校長だった母、記代子さんが72年に急死。32歳の若さで校長に就任するも、苦労した。そのとき伊藤肇氏の著書「現代の帝王学」に出会い、「料理の世界に生きる人間として志や使命感を常に持とう」と料理界のPRに尽力。 93年にスタートし、グルメブームを牽引（けんいん）したフジテレビ系「料理の鉄人」では説得力のある解説で高視聴率に一役買った。99年の女性芸能人が料理を作るテレビ朝日系「愛のエプロン」ではウイットに富んだコメントで料理を審査。フジ系「SMAP×SMAP」の人気コーナー「ビストロSMAP」や料理が題材のドラマの企画監修も務めた。 「テレビ番組の依頼はなるべく引き受けた」といい、その甲斐あって料理人が小学男子の将来就きたい職業ランキングで1位になったことも。 食の重要性を説くために校長や番組出演の合間を縫って昭和大医学部に通い、2005年に医学博士に。「子育てで大事なのは家庭だんらん。知育、徳育、体育の基本は食育」と子供の食育に尽力し、内閣府食育推進会議の委員として食育基本法を成立させたことでも知られる。服部さんが料理界にもたらした功績は計り知れない。