人気女性コンビYouTuber、“方向性の迷子”で活動休止 一連の流れから垣間見えたクリエイターのジレンマ
関西発女性コンビYouTuber「スターリーズ/staRYs*」 が、方向性のズレを理由に活動休止を発表した。視聴者から手厳しいコメントが寄せられるなど、活動7年にして大きな壁にぶつかっている同コンビ。今回はスターリーズの“方向性迷子”問題から、YouTuberたちのジレンマと起死回生について考えてみたい。 【写真】活動休止を決断したスターリーズ 「視聴者のみなさんを置き去りにしてしまっていた」 「スターリーズ/staRYs*」(以降、スターリーズ)は、2017年7月から関西を拠点に活動する「らん」と「ゆい」による女性YouTuberコンビ。ふたりでルームシェアをしながら手作りソフトクリーム店「Star Land」を経営するなど公私を共にし、その仲のよさから生まれる息のあった掛け合いや芸人並みに体を張ったドッキリ企画に定評がある。チャンネル登録者数は42.3万人を超えており、女性コンビYouTuberのなかではトップクラスの人気を誇る動画クリエイターだ(2024年10月2日時点)。 9月28日に投稿した動画では、ゆいが「しばらく活動休止させていただきます」と発表。スターリーズの今後やふたりの人生について話し合う時間が必要なため、活動を一時休止することに決めたとしている。ここ数年についてゆいは、「自分たちがしたいことが分からないまま突っ走ってきちゃった」と振り返っており、その結果、「いつも見てくれている視聴者のみなさんを置き去りにしてしまっていた」と発言。らんもまた、ここ数年は「ただ目の前のことだけを考えて進んでしまっていた」と反省しながら、「スターリーズの方向性に迷ってしまっていた」と、悩みながら活動していたことを明かしている。 一体、ふたりに何があったのか。その前日に公開された動画には、ふたりが本音をぶつけあっている姿が。「ここ1、2年、登録者数が伸びていない」というゆいの発言に、らんは「(動画を)あげることやねん」と、1週間のうち2分の動画を6本投稿することを提案。ゆいも「縦のやつ(TikTokなどの短尺動画)を6本とか撮っている方がいまの時代はあってる」とはしながらも、解決には至らない模様。すると、ゆいからは「スターリーズ、ゆい抜けた方がいい気がする」「おらへん方がうまくいくんじゃないか」など、脱退を匂わせる発言も出ている。"素のゆい”と”スターリーズのゆい”の狭間で苦しんでいたと打ち明けると、ついには泣き出してしまう事態に。混沌とした状態が続くなか、「何か、足りひんのかな」と迷っている様子が伺える。 スターリーズの活動休止に対し、視聴者からは「内容が雑になったと感じた辺から面白いと思わなくなった気がする」「何か違うよなぁっていう部分があって、スターリーズのYouTubeを見るというのが減りました」といった厳しい声が。その一方では、「圧倒的にコラボが減りましたよね」と以前との変化に触れ、コラボを増やす提案や投稿頻度を上げる提案など、ふたりが活動を継続できるよう後押しする声も多く、視聴者も本気でスターリーズに心を寄せていることがわかる。 ファンから注目を集めるスターリーズの方向性問題だが、これまでには多くのYouTuberたちも方向性やスタンスの問題を抱えてきた。再生数と登録者数の伸び悩みに直面していた男女2人組YouTuberのヴァンゆんは、エンタメからコントへのシフトチェンジを図り、再生回数100万回を超える動画を連発させるという起死回生の復活劇を果たすことに。そして、はじめしゃちょー率いる「はじめしゃちょーの畑」(チャンネル登録者数210万人)は「目標とスタンスがちょっとずれてる」と、2023年12月に無期限活動休止を発表。2018年5月の活動開始以降、メンバーの入れ替わりや改名を経ながら動画投稿を行なっていたなか、活動を見直すために休止を決めたことが明かされている。 スターリーズの7年という長い活動期間には、動画の長尺化やTikTok、YouTube ショートといった縦型短尺動画の誕生、コロナ禍、芸能人の参入など業界的に大きな変化があったことは確か。過去の企画は攻めた内容やコラボが多く、それらの企画が支持を集めていたように感じられるが、この7年間の業界の変化や20代前半からアラサーになったふたりの将来に、ゆいとらんのジレンマが限界に達したのではないだろうか。視聴者が何を求めているかわかったいま、あとはふたりが吹っ切れるだけなのかもしれない。
せきぐちゆみ