《ブラジル》小型機墜落で一家10人死亡=濃霧の中で離陸強行が原因か
12月22日午前9時13分頃、濃霧の中で離陸した小型航空機が、近隣のリオ・グランデ・ド・スル州グラマード市の街中に墜落し、乗っていた10人全員が死亡する痛ましい事故が起きた。機内には実業家ルイス・クラウジオ・サルゲイロ・ガレアッジ氏(61歳)と彼の家族9人が乗っていたと12月22日、23日付グローボなどが報じた。 同事故は、ルイス氏自身が航空機の操縦を行い、サンパウロ州ジュンジアイに帰る途中で起きた。午前9時12分頃にルイス氏とルイス氏の妻、3人の娘、義母、ルイス氏の姉妹、義理兄妹と2人の甥っ子の10人は、グラマードとカネラの市境にあるカネラ飛行場から離陸。わずか約3キロ先の欧州風の街並みで有名な観光地グラマード市街に、数分後に墜落した。 地元RBSTVの取材によると、既に10人の被害者のうち3人の身元がIGPの指紋鑑定とDNA鑑定により確認されたという。 ビルの煙突、民家、家具店、ポウザーダ(民宿)に衝突し、地上にいた17人が負傷した。被害者の多くが煙を吸い込んだため救助を必要とした。51歳と56歳の2人の女性が重傷を負い、それぞれ集中治療室で治療を受けている。 墜落現場に居合わせた観光客は、絶望に陥ったという。消防隊が出動し、州道235号は封鎖された。当局によると、この地域では爆発の危険性があったという。 同地元TVは事故発生の2日後に独占取材を行った。その際、施設内の壊れた家具や壁に残る傷の跡が確認され、焦げた臭いが残った状態だったという。 事故発生から2週間経った5日現在、被害にあったポウザーダは閉鎖され、立ち入り禁止区域として囲われたままだ。消防署は壊れた建物の所有者に対し、建築構造に損傷がなかったことを証明するための構造診断書と電気報告書の提出と新たな火災予防計画(PPCI)を要求。技師は「構造には問題がなく、壁に損傷を受けたのみ。修復後、同宿泊施設は営業を再開するだろう」との見通しを語った。 12月22日付G1「専門家が落下原因として濃霧等を指摘」によれば、カネラ空港には自動離着陸を補助する離陸補助システムがないため手動離着陸しかできない。事故当時、濃霧が出ていて視界不良だったが、同空港には気象情報を分析して離陸許可を出す設備や部署がないため、パイロット本人の判断に全てゆだねられていた。万が一、判断を誤った場合、危険な状況に陥る可能性があったことを専門家が指摘している。 操縦していたルイス氏はガレアッジ&アソシアードス社(Galeazzi & Associados)のCEOで、ジェトゥリオ・ヴァルガス財団(FGV)の経営学学位を取得後、危機管理及び企業の再構築に特化した司法分野で家族ビジネスを行ってきた。同社はルイス氏の父、同業界の有名人クラウジオ・ガレアッジ氏によって設立された。クラウジオさんは23年3月に癌で亡くなった。 ルイス氏の母マリア・レノール・サルゲイロ・ガレアッジさんは2010年にサンパウロ州ソロカバで起きた双発飛行機の墜落事故で亡くなっている。 捜査を担当するグスターボ・バルセーロス警察署長は、航空機の墜落原因を明らかにするため、捜査を進め専門家による報告書の結果を待っているところだという。航空事故調査・防止センター(Cenipa)は、事故原因の分析を続けているが、同センターは期限を定めていない。