「管理職=罰ゲーム」にしたのは会社か、若者か。割に合わないとされる管理職経験の「大きな価値」とは
どんな仕事をしていても、組織で働く限り、いずれは管理職(職場のリーダーなども含む)への道が開けてくる。仕事に必要な知識やスキルを蓄積しているからである。 【年収】いくらなら管理職になる?課長は「992万円」。部長・社長の場合は? 他のメンバーよりも経験や実績があり、特に周りからの人望のある人は職場で管理職に抜てきされやすい。管理職になる日を想定して、日々仕事を頑張っている人もたくさんいることだろう。 一方、若い世代の間では、「管理職になることは罰ゲームのようだ」として、管理職になることを避けようとする人が増加しているという。これはなぜだろうか。
◆職場にいる「給料が高くて非管理職」の中高年世代が理想の働き方?
管理職の仕事の特徴は何か。「仕事の責任が重い」「裁量が増える」「チームを動かし、より大きな仕事をする」「よい待遇を得る」などが代表的だろうか。 管理職になることで待遇が上昇するため、多くの人は管理職になることを目指すはずだった。 現役の管理職が多い中高年世代にとって管理職になることは、長い年月かけてキャリアを重ねていく中での通過点の1つであった。 主任→課長→部長→役員→社長というように、社内の役割は段階を踏んで変化し、それぞれの段階で求められる能力は高度化していくものだ。 自分の能力や適性、やる気、事業環境、人間関係、それに加えて景気や競合先の動き、業界事情などが影響して、タイミングはまちまちにはなるが、社員は長い年月をかけて組織の中で管理職として成長していくものである。 しかし昨今、管理職になりたくない、管理職は罰ゲームであると考える人が増えてきているという。 「管理職は割に合わない」と考えているようだ。その背景には、管理職と非管理職との間で賃金がフラット化している傾向などがあるのだろう。 管理職になってもそれほど待遇が良くなるわけでもない、管理職になったら部下の管理までしなければならず、明らかに仕事量が増えるなど、いわゆる“コスパ”“タイパ”が悪い認識があるようだ。 例えば、年功序列色の残る職場には中高年の管理職が多いが、一方でポスト不足なために部長付、課長付という立場で、給料は高いが実質平社員として職場で働く中高年世代がいる会社は少なくない。 その数は特に大企業ではかなり多いはずだ。部長付や課長付は社歴の長い先輩社員たちであり、経験豊かなベテラン社員である。 職位上は管理職待遇だが、実質的には管理職の役割を担っていない。会社によっては若い世代とほぼ同じ仕事をしながら給料は高い。 部長や課長という役職がついた管理職と部長付・課長付の給料差は、実はそれほど大きくないことが多い。 このような組織構造のある会社では、若い世代はいろいろと責任の発生する管理職になるよりも、給料は高いが管理職の仕事をしなくてもいい部長付や課長付になる方がいいと考えるようになるかもしれない。 また、長期にわたって部長付・課長付をすることになった中高年世代にとっても、管理職を目指そうという気持ちが薄れてしまう現実もあるだろう。