古代オリンピックの正式種目に戦車競走 西洋文化の原点をギリシャに見る
世界的スポーツの祭典、近代オリンピックは1896年に始まり、今年で120周年を迎える。その原点である古代オリンピックに関する芸術作品33件が、21日から9月19日まで開催されている特別展「古代ギリシャー時空を超えた旅ー」<東京国立博物館平成館(台東区上野公園)>の「古代オリンピック」コーナーで鑑賞できる。 古代オリンピックの発祥は紀元前8世紀のギリシャ。オリンピアのゼウス神域で4年に一度、競技祭が行われるようになったのが始まりと言われる。 当初は短距離走に始まり、その後、中・長距離、五種競技(徒競走、円盤投げ、槍投げ、走り幅跳び、レスリング)、総合格闘技、戦車競走など。のちにほかの競技も追加され、ギリシャ全土に広がっていったという。参加できるのはギリシャ人の男性だけだった。
当時のオリンピック競技種目やアスリートたちの熱い戦いが彫像や陶器画に記録されている。鍛え上げられた肉体が美しい優勝者の大理石像、躍動感あふれる青銅製の競技者像、細部まで写実的に描かれた陶器画などは、オリンピックがいかに大きなイベントだったかを物語る。いかにも古代ギリシャらしい戦車競走や現在も正式競技であるレスリングや槍投げなど、興味深い展示品の数々に加え、競技の再現映像が、古代オリンピックのイメージを広げてくれる。
上の写真はストレンギスという、垢掻き用の青銅製または鉄製のヘラだ。オリンピックの競技者は、運動前に体に香油を塗り、運動後このヘラで砂やほこりにまみれた皮膚の汚れを削ぎ落すのに使われた。男性のみらならず、女性の脱毛にも役立てられていたという。古代ギリシャ人必須のスキンケア・アイテムだったようで、墓の副葬品から数多く出土している。
「古代オリンピック」コーナーのほか、西洋文化の源である古代ギリシャ文明のはじまりから最盛期まで、世界史の教科書から飛び出したような300件超の作品が鑑賞できる。
【観覧料】一般:1600円(1300円)、大学生:1200円(900円)、高校生:900円(600円)※( )は20名以上の団体料金。中学生以下無料。障害者とその介護者1名は無料(入館の際には障害者手帳などを要提示)【開館時間】午前9時30分~午後5時※入館は閉館の30分前まで。土日祝は午後6時まで。金曜日および7、8月の水曜日は午後8時まで。【休館日】月曜日※ただし7月18日(月・祝)、8月15日(月)、9月19日(月・祝)は開館。7月19日(火)は休館。詳細は展覧会公式サイトへ。