「86歳の老人に治療してもムダじゃないかと思うことも…」 養老孟司さんがガン告白
4月にがんが発覚
450万部超のベストセラー『バカの壁』の著者である養老孟司さん(86)。11月18日に発売される最新刊『人生の壁』に、気になる告白が登場する。 【写真をみる】養老孟司さんの愛猫「まる」がかわいすぎる ***
〈令和6年4月に自分個人の定期検診で肺癌が発見され、それから9月まではいわゆる闘病生活でした。病院に入ったり出たりを繰り返して、9月末には放射線治療が終わるはずです〉 さらに、こう続く。 〈その間に死生観が変わりましたか、などという質問を受けましたが、11月で87歳になる老人がいまさら死生観を変えるわけもなく、いつもの通りで、ただボンヤリ日常を過ごしています〉 80代にしてなお頑健。虫採りのため野山に分け入る姿も度々テレビで紹介されていた養老さんに、何が? ご本人によると、 「今年3月ごろ、妙に肩が痛かったんです。最初はマッサージのもみ返しかなと思っていたけれども、どうも様子が違う。それで、もともと通っていた東大病院の中川恵一さんに相談して診てもらったところ、肺がんのステージ2だとなったのが5月のこと」 6月4日の「虫の日」には毎年、養老さんにとって大切な「虫供養」の行事がある。今年のあいさつでは、がんのことにも触れていたというが、出席者の口が堅かったか、特に広まることはなかったという。
「治療してもムダじゃないかと」
「7、8月に入院して抗がん剤治療を受けていました。結構きつかったけれども、かなり効いたようで調子は良くなった。それでもこの時期、いくつか仕事をキャンセルしなければならなくなって、各方面にはご迷惑をおかけしました」 9月にも抗がん剤と放射線治療を受け、とりあえず一連の治療は終了した。 「正直言って、86歳の老人に治療なんかしてもムダじゃないかと思うこともありましたが、家族や親しい人、お医者さんたちが親身になってくれるのを見て、そういう考えもあまり良くないなと思うようになりましたね……。何が何でも生きたいと思ってきたタイプではないけれど、むしろ何が何でもと思うほうが素直なのかも、とも」 なぜ新刊で公表を? 「タイトルが『人生の壁』なんだから、人生の一大事についてはちゃんと書いてくれと担当編集者に要望されたから触れただけ。この件での取材その他はこれでおしまいとしますので、あとは放っておいていただければありがたい」 入院中に思い付いた新しいアイデアもあり、いずれ執筆するつもりだという。
「週刊新潮」2024年10月31日号 掲載
新潮社