気象庁が認める「緊急地震速報」の限界とは?
8日午後4時56分ごろ、奈良県と大阪府で最大震度6弱から7程度の緊急地震速報が出ました。結果、大きな揺れは観測されず、同庁では誤報として調査を進めています。原因について、正確なところは調査結果を待たなければいけませんが、気象庁は運用にあたって、同速報の限界を認めています。 気象庁が認めている限界とはどういうものなのでしょうか? 気象庁は以下の4点を挙げています。 (1)時間的な限界 ・時間的な限界として、緊急地震速報を発表してから強い揺れが到達するまでの時間は長い場合でも十数秒~数十秒となり、震源に近いところでは、速報の発表が強い揺れの到達に間に合わない場合があります。 (2)誤報の可能性 ・1観測点のデータを使っている段階ではノイズなどにより速報を発表する可能性があります。(事故や落雷、機器の障害なども含む) (3)地震規模などの推定の限界 ・大規模な地震及び複数の地震が時間的・空間的に近接して発生した場合に、地震規模などを的確に推定できないことがあります。 ・特に大規模な地震に対して推定精度の限界があります。(地下の断層の破壊の途中に速報を発表=断層の大きさと位置が未確定に) (4)震度予測の課題 ・統計的な距離減衰式による震度予測の制度や、表層地盤における増幅予測に限界があります。
過去の誤報の事例
過去には次のような誤報の事例がありました。 2009年8月25日には、千葉県沖で地震が起きた際、地震計から過大な揺れのデータが送信されたため、誤って緊急地震速報が発表されました。これは地震計のソフトの改修ミスが原因でした。 東日本大震災以降の2011年には、地震活動が活発になり、違う場所でほぼ同時に発生した地震を1つの地震として処理してしまうなど、緊急地震速報が適切に発表できませんでした。