「仮設住宅もいつできるのか…」長期避難続く集落 能登地震10カ月
1日、能登半島地震の発生から10カ月が経った。10月31日午後、9月の豪雨で土砂崩れが起きた石川県珠洲市仁江町では、金庫から通帳などの貴重品を取りに来た男性(75)の姿があった。 【写真】被災後の集落再建、どうすれば…新潟・山古志で学ぶ能登の住民たち 豪雨のあった9月21日、男性は仁江町にいた。胸のあたりまで水につかりながら、命からがら脱出し、近くの道の駅まで歩いて避難したという。地震を耐えた自宅はひざ上まで土砂に埋まり、流された納屋が玄関をふさいだ。病気の妻と住む金沢市のみなし仮設住宅から片道約3時間かけて、時々自宅を訪れている。 これからの生活について、「近くの仮設住宅もいつできるのかわからないし、どうもこうもない」と疲れた様子で話した。 仁江町では23世帯が暮らしていたが、地震による土砂崩れで9人が犠牲になった。さらに崩れるおそれから避難指示が出されたうえ、対策工事に数年かかる見通しで、県は5月に全世帯を長期避難世帯に認定している。(金居達朗)
朝日新聞社