EC業界に15年以上携わる有識者3人で「ネッ担 ニュースまとめ」の連載再開! 意気込みやEC業界をアレコレ語り合う
これはEC業界に限った話ではありませんが、“EC黎明期”と言われている人たちの意識の変え方、仕事に対する考え方を変える必要があるんじゃないかなと感じます。今は昭和ではなく令和です。若い人たちは「出荷件数が多いから万歳」とは思いません。“EC楽天黎明期”は、連日深夜まで受注やカスタマーサポートをして、また朝から通常業務……という過酷な労働が当たり前だった時代。まぁ、メールを出せば売れる、商品を出せば売れる時代でしたので、目に見えて売り上げも利益も伸びていました。今は、ECというビジネスモデルが当たり前になり、働き方に関する世間の目も厳しくなりましたから。今でもそんな働き方をさせていたら、利益が出ても、人は定着しにくいと思っています。 テクノロジーを活用して効率的に業務をこなして、帰宅後はプライベートを充実、また翌日仕事をこなすという業務フローにいかにできるか。本来、テクノロジーとはそのためにあるものだと思っています。もちろん仕事で楽しみを見出せれば、それはそれで良いわけです。 今はその仕組みを考えている人、仕事ができる人に業務が集中してしまい、その人が疲弊する傾向があるんじゃないかと感じます。それを解決するためには、テクノロジーが必要なわけですよね。
昔は「急激に売り上げや出荷数が伸びて万歳」という話でしたが、今は配送会社の集荷時間などもあり、「無理して出荷するの?」となる。「持続可能でほどよく伸びる」という傾向がありますが、昔は出荷したらちょっと寝てまた受注処理をして、という流れでしたね。
終電を逃してしまったら作業場で寝て、また出荷して――。お正月やクリスマスはそんな状態でしたね。
今ではそれは難しいですね。
難しいですし、求められていないのかなと。頑張ったら頑張った分だけ報われることに夢を見ている人は少ないでしょうし、より健やかに働きたい人が多い気がします。
そもそも、この表現が正しいかはわかりませんが人種も違うと思っています。昔は「ECで一旗揚げてやろう」と考える人、表現は悪いですがどこかクレイジーだったり社会にうまく馴染めなかった人がこの業界の発展に寄与してきました。そういう人が注目されてそれが正義とされてきた。けれど今はECが当たり前になって、誰でもEC業界に入ってきているような状態ですよね。 これは、まだネット通販がスタートして30年も満たないECビジネス特有かもしれませんが、経営者と労働者、長く業界に携わっている人とない人との間で、すれ違い・差が生まれていると感じます。「皆がライオンや怪獣じゃないんだよね」と考えて、どうやって組織として運営していくかが大事ですよね。