自動車産業の取引先は全国約7万社(重複を除く) 「型式指定」問題が全国の取引先に広がる懸念も
「国内自動車メーカー7社」取引先調査
国内自動車メーカーの不正が相次いでいる。自動車メーカーを頂点としたサプライチェーンは、すそ野が広く、自動車部品メーカーのほか商社や物流など、複層的に全国の様々な企業が集積する。今回の調査で、国内自動車メーカー7社グループの1次、2次を含めた取引先の合計(重複除く)は全国に6万9,860社あることがわかった。7社のうち、型式指定の不正申請の4社の取引先計は6万2,913社(重複除く)だった。 東京商工リサーチの約390万社の企業データベースから、国内自動車メーカー7社の1次(直接)、2次(間接)の取引企業を抽出した。国内自動車メーカーと直接、間接に取引のある企業は、合算すると重複を含め13万475社に及ぶ。このうち、各自動車メーカー内の取引企業の重複を排除すると11万4,201社、さらに全取引企業を合算後に重複を排除しても6万9,860社ある。 ※ 本調査は企業情報サービス(tsr-van2)の企業相関図から、国内自動車メーカー7社の仕入先、販売先を1次(直接取引)、2次(間接取引)に分けて抽出し、業種、規模などを分析した。取引先計は、1次、2次を含め仕入先と販売先を合算後、重複を除いた。 ※ 対象は、トヨタ自動車、本田技研工業(ホンダ)、日産自動車(日産)、マツダ、三菱自動車工業(三菱自)、スズキ、SUBARU(スバル)の7社と、各社の有価証券報告書の関係会社に掲載がある国内の連結子会社と持分法適用企業を対象にした。 ◇ ◇ ◇ 国内自動車メーカー7社の取引先を単純に合算すると11万4,201社に及ぶ。このうち、最多はトヨタ自動車の4万8,130社(構成比42.1%)。次いで、ホンダ1万5,243社(同13.3%)、日産1万4,045社(同12.2%)、マツダ1万34社(同8.7%)と続く。 重複排除後の6万9,860社の産業別は、最多は製造業の2万892社(同29.9%)、次いで、卸売業の1万3,671社(同19.5%)、サービス業他の1万2,598社(同18.0%)と続く。 売上高は、1,000億円以上の大企業は1,583社(同2.2%)にとどまり、10億円未満の中小企業が3万6,798社(同52.6%)と半数を超え、サプライチェーンは中小企業が支える構図になっている。 型式指定申請の不正で、国土交通省はトヨタ自動車やホンダ、マツダ、スズキなど自動車やオートバイメーカー5社の一部に立ち入り検査に入り、行政処分が出る可能性もある。また、不正の発覚で一部車種の出荷ができなくなっており、取引先への影響が懸念される。 昨年、不正が発覚したダイハツ工業は、生産停止で受注が減少した取引先に売上補償などの支援を行った。自動車メーカーの取引先は下請けから周辺産業まで幅広い。小規模事業者も多く、不正問題は全国の関連産業に影響する可能性もある。