イラクが選択した“日本対策”

森保ジャパンはイラクの日本対策にしてやられた。写真：梅月智史（サッカーダイジェスト写真部／現地特派）

［アジアカップ グループステージ第２節］日本 １－２ イラク／１月19日／エデュケーションシティ・スタジアム 【PHOTO】日本代表のイラク戦出場16選手＆監督の採点・寸評。全員が及第点以下の厳しい評価。最低点は守備者の２人 　１月19日に行なわれたアジアカップのグループステージ第２節、イラク戦は１－２で日本が敗れた。パフォーマンスが優れない前半を過ごした後、初戦のように反撃はならず、終盤に１点を返すのが精一杯の完敗。１勝１敗で24日のグループ最終節、インドネシア戦を迎えることになった。 　初戦でも感じたことだが、優勝候補と称されて大会に臨むと、相手は入念な分析と対策を施してくる。アップセットを起こしてやろうと、モチベーションが高い。さらに今回は中東開催のため、スタジアムの雰囲気もイラクを後押しした。 　そんななか、この日本戦に際し、イラクは初戦のスタメンから５人を変更。特に大きな変化はセンターフォワードだ。インドネシア戦で無双の活躍を見せたFWモハナド・アリをベンチに置き、188センチの長身かつ重厚なFWアイメン・フセインを先発で起用した。 　モハナドは、スピードとパワフルな突進力を備えた戦車型のFW。動き出しが良く、ボールを奪った瞬間にゴールへの最短距離を見つけ、相手DFの背後を取るのが巧みだ。一方のアイメンは、要塞型のFWで空中戦とポストワークに長けている。イラクのヘスス・カサス監督が日本戦でチョイスしたのは、後者だった。 　 　あの手この手で、日本対策。「良い守備から良い攻撃」を標榜する日本のミドルプレスに対しては、各チームが様々な対策を立てる。ベトナムは自陣ポゼッションで剥がし続けることを選択したが、イラクはロングボールで日本のプレスを空転させ、間延びしたスペースで身体の強さを活かす方法を選択した。 　板倉滉、冨安健洋、谷口彰悟を始めとするCB陣は、日本のミドルプレスの基盤だ。スピードのある彼らのカバー範囲が広いからこそ、ラインを上げてプレッシングにいける。しかし、イラクが勝負を挑んできたのは、そこではなかった。スペースではなく人に向けて蹴り、パワーで勝負する。これは日本にとって分が悪い対決になってしまった。ベトナムとは異なるやり方だが、どのチームも自分たちの個性を生かして対策を講じてくる。 　そして、このアイメンをどう処理するかだが、日本は対応が後手に回った。如実に表れたのは、５分の失点場面。少し下がってハイボールのターゲットになったアイメンに対し、板倉はついて行かずにマークを受け渡したが、その相手は伊東純也。右ウイングだ。 　空いてしまったサイドへ頭で流され、イラクがフリーでボールを持つ。さらに対処に出た菅原由勢の背後へアリ・ジャシムが斜めに飛び出し、板倉がカバーにいくが、クロスを許す。このボールをGK鈴木彩艶が弾いたところを、アイメンが頭で詰めて先制されてしまう。アイメンへの対応も、斜めに飛び出したジャシムへの対応も、どちらも中途半端で相手のプレーを制御できなかった。