「母親に対して、とにかく厳しい」SNSの風潮 真船佳奈さんが子育て漫画で“弱音”を発信する理由とは
多くの共感を呼ぶエッセイ漫画。とくに妊娠・出産・育児は、自分と重なることや参考になる面もあり、人気の高いカテゴリーです。テレビ東京で働きながら漫画家としても活躍する真船佳奈さんも、自身の経験を書籍やSNSで発表し、たくさんの読者から反響を呼んでいます。漫画家として、仕事や育児との両立について聞いた前編に続き、実体験を作品として発表することへの思いについて、お聞きしました。 【漫画】実体験に共感の嵐 再掲載のたびに反響が大きい「仁義なき保活物語」 実際の投稿 ◇ ◇ ◇
「育児漫画を描き始めてから、コメントの質がガラリと変わった」
過去には、バラエティや音楽番組のアシスタントディレクター(AD)をしながら漫画を描いていた真船さん。デビュー作のコミックエッセイ「オンエアできない!~女ADまふねこ、テレビ番組作ってます~」(朝日新聞出版刊)には、画面に決して映らないテレビの裏側などが描かれています。
当時は“知らない異質な世界で働いている人の漫画”といった見方で、「嫌なことあったけど、この漫画を読んで超笑って元気が出た」などの声に、「描いて良かった」と励まされることがたくさんあったそうです。 そして現在、日常を描き続ける真船さんのテーマは自然と、子育てが中心に。最新刊「令和妊婦、孤高のさけび!頼りになるのはスマホだけ?!」(オーバーラップ刊。以下、「たよスマ」)には、妊娠、つわり、出産、授乳の悩みなど、自らの体験を描いています。そうしてテーマが変化するなかで、読者層やその反響も変わりました。 「育児漫画を描き始めてから、コメントの質がガラリと変わったと感じます。『代弁してくれてありがとう』『私が言語化したかったけど、できなかったことです』といった声が多く、とても長いメッセージをいただくことも増えましたね。仕事をテーマにしていたときも、『元気になりました!』という声に喜びを感じていましたけど、今は自分の体験や感じたことを描くのは、意味のあることなんだ……と思えるようになったのが、大きな変化です」
子育て女性だけでなく、男性にも読んで欲しいと考えた「たよスマ」
妊娠から息子さんの生後6か月頃までの軌跡を描き、発売後1か月で2度の重版と、多くの人の支持を集めている「たよスマ」。妊娠・出産を経験した女性たちだけでなく、実は男性読者も多いのが特徴です。 真船さんは「この本を作るとき、妊婦さんだけに共感してもらうのではなく、パートナーである男性にもちゃんと妊娠・出産について理解してほしい。家族で読んでもらえる本にしたいと考えていました」と明かします。 実際に、「電子版で買ったけれど、夫に読ませるために紙の書籍で買い直しました」という女性や、「部下が妊娠したので、妊婦さんの気持ちを知りたくて買いました」という男性も。「子どもが生まれて、かわいいと思うけど、急には自分のペースが変えられない。妻との関係が悪くなって、どうしたら気持ちがわかるのか……」といった状態で、この本にたどりついた新米パパもいるそうです。