「わかっていないことは、イノベーションの源泉」都会のオフィスでもサンゴの飼育が可能に…水槽内に海の生態系を再現する「環境移送技術」とは?人と自然が共栄する世界を目指すイノカ代表に話を聞いてみた
1つの環境に縛られず、陸の環境移送を目指す
トムさん「環境移送した水槽を作ること以外の支援やソリューションについて考えていることはありますか?」 高倉さん「実ははじめからサンゴを守りたくて会社を作ったわけではなく、最初はサンゴの面白さに惹かれて会社を設立したんです。 例えばサンゴから癌の治療薬が作れるということがアメリカなどではわかっているのですが、まだまだサンゴにはわかっていないことが多いんです。わかっていないことってイノベーションの源泉じゃないですか。 今は生成AIや仮想通貨などいろんな技術がある中でそれをどう使っていくか考えることももちろん重要です。 しかし本当に革新的なことは生命科学や生き物を探求していく中で見つけていけるのではないかという思いがあり、この会社を作りました。 現在はサンゴを守る研究をメインでやっていますが、次はサンゴ礁の水槽を医療関係の研究者の方に提供して、サンゴから人間の命を救う方法を考えていけたらいいなと思っています。考えていただけることができるといいなと思っています。
実は環境移送には水や海だけといった縛りはなにもないんです。なので、陸の環境移送もこれからやっていきたいと思っています。 海でいう水の生態系と対をなす陸の生態系とは“土”なんです。土の生態系にはすごく興味をもっていて、ミミズやミミズが作る土壌の生態系の話などを聞いていると『土を環境移送するのもやはり非常に面白そうだな』と思うようになりました。 今は、土の環境移送に早くチャレンジできるようにしたいです」
「人と自然が共栄する世界」のためにできること
トムさん「今後のビジョンなどはありますか?」 高倉さん「人間も自然も共に栄えていく状況を作りたいと思っています。 共生という言葉があると思うんですが、その先をさらに目指していきたいです。 海や海の森を守るために、アマモという海草をいろんなところに植え付けています。このアマモが光合成をすると地球温暖化を抑制できますし、ここにいろんな生き物が卵を植え付けると生物多様性も戻ります。 しかし、これで自然が豊かになってもその地域に住んでる方々になにも還元されないのであれば、やはりそれはサスティナブルじゃないと思っています。 私たちは生き物が大好きなので、 生き物がいなくなるということは推しのアイドルグループが解散してしまう感覚にすごく近いんです。 生き物の未来についてより多くの人たちを巻き込んでいくために、地域の経済にも還元されるような社会を作っていきたいです。 世界中に自然を増やしていくのは当たり前です。自然を増やした上で、我々人間もどうしたら繁栄できるのかを考えています。 いろんな人が興味を持って集まってくる水槽や環境移送技術をベースに、人が集まるプラットフォームは作れます。 私たちが環境移送した水槽を日本全国、そして世界にも広げていきたいなと思っています」 ◇◇◇ 本記事は、日テレNEWS NNN YouTubeチャンネルメンバーシップ開設記念番組「the SOCIAL season1」の発言をもとに作成されています。
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