米財務長官に実業家ベッセント氏 課題は「トランプ減税」の延長
トランプ次期米大統領は22日、財務長官に実業家のスコット・ベッセント氏を指名すると発表した。当選を確実にして以降、トランプ氏は政権の骨格となる人事を矢継ぎ早に決めてきた。調整が遅れていた財務長官が固まり、主要閣僚が出そろった。 トランプ氏はこれまで、外交を担う国務長官や国防長官などの重要閣僚を次々に決めてきた。一方で、経済政策の司令塔となる財務長官は候補者が乱立。トランプ氏に近い実業家イーロン・マスク氏が別の候補者を推したこともあり、調整に時間がかかっていた。 そんななか、ベッセント氏が重職に指名された背景には、トランプ氏が一連の人事で最も重視した自身への「忠誠心」がありそうだ。 ベッセント氏は、トランプ氏の経済政策への懐疑論が根強い金融業界に身を置く。それでも、選挙戦中はトランプ氏に経済政策の助言をし続けた。そうした功績が今回の人選につながった可能性がある。株価に敏感なトランプ氏が、自らの経済政策の理解をウォール街に求めるうえで、「パイプ役」を期待した面もありそうだ。 トランプ氏は同日の声明で、ベッセント氏について、「米国第一主義を長年にわたって強く訴えてきた」と指摘。自らの信条に一致する人物だと強調した。連邦議会上院で承認されれば正式に就任が決まる。 ベッセント氏は投資ファンドのキー・スクエア・グループ経営の富豪。著名投資家ジョージ・ソロス氏のファンドで経験を積んだことで知られる。 就任すれば、2025年末に期限が切れる個人所得税の減税(トランプ減税)の延長が課題となる。トランプ氏の最重要公約だが、専門家からは、連邦政府の財政を今後10年間で5兆ドル(約770兆円)以上悪化させると批判される難題だ。
朝日新聞社