「世界を変えて」総理に宛てられた手紙と、命を絶った男の子の叫び "13歳の声"に見る『不登校』のいま
学校に行きたくても行けない
新学期になったら学校に行こうと思っても、怖さを感じてしまう。目標を作って一歩踏み出したい気持ちと、不安が入りまじっている。 「(気持ちが)落ちたときに思うことは、自分は周りに迷惑をかけている、学校に行かないことで迷惑をかけるんだったら、自分がこの世界からいない方がよかったのかなと思います。出席日数も必要だから高校受験が不安…」 2022年8月、夏休みが明けた新学期。不登校の子どもが学校に通うようになったり、逆に増えたり節目となる時期だ。 2学期が始まっても、芽生さんは学校に行けなかった。母親の肖子さん(55)は落ち込む愛娘に静かに寄り添う。 「大丈夫。大丈夫」 母に優しく見つめられた芽生さんの目からは、涙がこぼれだす。 母と娘2人だけのドライブで、芽生さんは胸の内を話し始めた。 「本当は楽しく学校に行って、楽しく過ごしているはずだったのに、なんでこんな理不尽なことで自分が苦しむの」
募る“学校への不信感”
中学校は取材に対し、「いじめがあったかもしれない。加害生徒には注意をした」と答えた。そして、芽生さんへのメッセージとしてこんな言葉を連ねた。 「まずは学校に来てほしい。少しずつやる気になって、社会で通用する生徒になってほしい」 学校からすると芽生さんは「やる気」がなく、このままでは「社会で通用」しないそうだ。 大人や学校に対する不信感は簡単には拭えない。友達と勉強したり、行事に参加したりもしたい。でも、学校は怖い場所。自分を責め、消えてしまいたい、と思ったこともある。 「学校はわかってくれない、理解されない。自分の気持ちは世の中に通用しない。車に飛び込もうとしたときもありました。そのときは、自分じゃないみたいな。もう嫌だなという感じ」 学校や先生に相談しても理解してもらえない。2022年9月、芽生さんはある人物に手紙を出すことにした。届ける先は学校や教育委員会ではない。日本のトップ、総理大臣だ。 岸田文雄総理への手紙は約1600字にもなった。