「世界を変えて」総理に宛てられた手紙と、命を絶った男の子の叫び "13歳の声"に見る『不登校』のいま
“先生の言葉”で不登校に
一方で、翔さんのようにいじめられている同級生を、救おうとする子もいる。 大阪の隣、京都市に住む大里芽生さん(13)は、周囲から「死ね」などと言われていたクラスメイトを何とかしてあげてほしいと担任に進言したところ、言下に見て見ぬふりをしろと言われたという。 “大人”への失望から不登校になった彼女に対し、学校側が伝えたメッセージはおよそ信じがたいものだった。 大里芽生さんは、高校生の兄と両親の4人で暮らしている。中学1年生の夏休みが明けた頃から学校に行けなくなった。 自分の部屋には、集合写真や名札など小学校時代の思い出の品々を飾っている。小学生のときには先生から「芽生さんのおかげでクラスが明るくなった」とよく言われたという。特に6年生の担任の先生が大好きで、休みの日も通いたい、と思ったほどだった。 卒業後は地元の中学校に入学。しかし、入学から間もなく同級生の男の子が複数の女子生徒からいじめられているのを目の当たりにする。
「自分はみてる人になるのか。本当にそれでいいのかわからない」
芽生さんは当時の思いを日記に綴っている。 【芽生さんが日記につづった思い】 学校でいじめみたいなのがあって、そのまじめな子に『死ね』『いなくなれ』って聞こえる声で言ってる子がいる。私はまじめな子に話しかけられて話してたら『その子は嫌われてるから離れた方がいいよ』って言われる。自分はみてる人になるのか。本当にそれでいいのかわからない。本当にごめんなさい。 芽生さんは、男の子を助けたいと思い担任に相談したが、「本人は気にしていないから大丈夫」と言われた。その後、何度相談しても、いじめはなくならなかったという。 芽生さんは次第に学校に行こうとすると頭痛や吐き気を感じるようになる。2学期に入り、母親と一緒に相談に行き、教室に入ることが怖いと訴えた。 しかし、担任から返ってきたのは、あまりにすげない言葉だったという。 「社会で生きるためには我慢しないといけない」 「他の学校でもあること」 芽生さんはこの言葉をきっかけに不登校になった。 「『我慢しなくてはいけない』って言われた時に、先生に相談しても何もできない、理解されないと思って諦めたという感じ…。人が死んだらわかる。死なないとわからないんだろうなと思ってしまう」 文部科学省の調査によると、不登校のきっかけとなった理由として「先生のこと」を挙げた生徒は小中学生ともに3割前後に達し、上位を占めた。いずれも、いじめを含む「友達のこと」よりも多い割合だった。