すっかり衰退した日本という国が滅亡しないためにできることはあるのか
"若い突破力"に委ねるしかない
どんな時代にあっても10代や20代の若いエネルギーが世の中に新風を吹き込み、社会を変えてきたのである。コロナ禍では目を覆いたくなるような日本の衰退ぶりが明らかになったが、日本の再興は「社会の老化」にとりつかれた人々(年齢のことを言っているわけではない)には無理である。 日本の未来を切り拓こうとするならば、"若い突破力"に委ねるしかない。高齢社会であるからこそ、若い世代が活躍しやすい基盤をより整えていく必要があるということだ。 ただでさえ、少子化が深刻化する日本には若い世代が少ない。総務省によれば2020年の15~29歳人口は1831万8000人で、総人口に占める割合はわずか14・6%に過ぎない。「コロナ前」から日本は、新たな文化の創造が難しく、イノベーションが起こりづらい国であったのだ。 行動力に溢れる若い世代が新たな価値観を生み出し、それが社会の活力となってさらに新しいものを生み出していく。この繰り返しが国としての力の源となる。 日本のような「老いた国」においては、高齢者の意見や意向が通りやすく、むしろ若い世代に従来の社会規範を遵守し、価値観に合わせるようプレッシャーをかける。これでは社会が大きなマンネリに陥り、世界から遅れていくのも当然である。成長分野がなかなか登場しないのも、さまざまな分野で国際ランキングが低迷し、国際競争力に陰りが見られるようになったのも、すべての元凶は「社会の老化」にあると言ってよい。 コロナ禍が人口減少を加速させることになり、日本はかつて経験したことのない変革を求められる。「挑戦」を好まない姿勢を続けたのでは、日本社会は想定以上に早く衰退のときを迎えよう。若い世代に手枷足枷を嵌める愚を改めなければ、疑いなく、先進国の座から転げ落ちる。 こうした「社会の老化」を跳ね返す手立てはないのだろうか。もちろん打つべき手がないわけではないが、「前例なき時代」を進んでいくにあたっては、これまでの価値観を捨てざるを得ない。それはかなりの荒療治を要するものになるだろう。 しかしながら、コロナ禍を経験し、多くの人が否応なしに激変を目の当たりにしたこのタイミングは、日本にとって人口減少対策に突き進むための、またとない「チャンス」ともいえる。 革新的な方策を取らなければ、日本は滅亡への道を歩み続けることになる。 つづく「日本人はこのまま絶滅するのか…2030年に地方から百貨店や銀行が消える「衝撃の未来」」では、多くの人がまだまだ知らない「人口減少」がもたらす大きな影響を掘り下げる。
河合 雅司(作家・ジャーナリスト)