尹大統領逮捕状巡り緊張高まる…警察は軍出身「特攻隊」投入検討、警護庁は公邸を「要塞化」
【ソウル=依田和彩】戒厳令を宣布した韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領に逮捕状執行を巡り、高位公職者犯罪捜査庁(公捜庁)や警察などの合同捜査本部と尹氏を警護する大統領警護庁は互いに一歩も引かない構えで、緊張が高まっている。 【写真】3日、ソウルの大統領公邸の門に到着した捜査官ら=AP
韓国の主要メディアは8日、7日に再発布された尹氏の逮捕状執行に向けて双方が準備を進めていると報じた。大統領公邸では8日、正門を塞ぐように車両が配置されたり、周囲に鉄条網などが設置されたりして、「要塞(ようさい)化」が図られていた。
合同捜査本部は3日に大統領の逮捕を試みたが、警護庁に阻まれ失敗したことから、執行のタイミングなどを慎重に検討しているとみられる。最初の逮捕状については執行期限を明らかにしたが、今回は明らかにしていない。
警察は次に逮捕状執行を試みる際には、それを阻止しようとする警護庁幹部の逮捕も辞さない方針だ。韓国主要紙・朝鮮日報は8日、警察の特殊部隊「警察特攻隊」の投入が検討されていると報じた。同隊は、対テロの最精鋭部隊でほぼ全員が軍出身者だという。
呉東運(オドンウン)公捜庁長は7日の国会質疑で、1回目の逮捕状執行の試みについて「十分に作戦を練るべきだった」と釈明し、「2回目の逮捕状執行(の試み)が最後という覚悟で最善を尽くす」と語った。一方、朴鍾俊(パクジョンジュン)大統領警護庁長は5日の声明で「大統領の絶対安全を存在価値とする警護庁が逮捕状執行に応じることは職務放棄だ」と表明した。