「炎が子どもを焼かないように」元ちとせさんが大切にし続けてきた曲に込める平和への思い 原爆資料館で受けた衝撃が歌い手としての姿勢を変えた【思いをつなぐ戦後78年】
今年5月に開かれた先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)で、各国の代表らが原爆資料館を訪れました。私がそうだったように、世界の代表者たちにもまた、新しい意識が生まれたと信じたい。目の前のプライドだけで核を使うと、応酬となり国が滅びます。手放す勇気を持ってほしい。 ▽音楽が持つ力を信じて歌い続けたい 今は出身地の鹿児島・奄美大島に家族と住んでいます。島には2019年に自衛隊の駐屯地が置かれました。いろんな考えがあることは当然ですが、災害時などに助けられることもあります。大切に思うふるさとが今後も美しくあるように、争いのないようにしてほしい。 島では人と人との絆が大事にされています。だから許せることも増えます。国同士も譲れないものがあるのでしょうが、理解し合えば絆が深まります。 心が豊かであれば前向きな言葉が増え、笑顔も生まれます。音楽には聞く人の心を豊かにし、それが優しさや思いやりにつながり、平和への意識を「大きな花」として広げていく力があると思います。小さいことかもしれませんが、音楽が持つ力を信じて歌い続けたい。
× × はじめ・ちとせ 1979年生まれ。代表作に「ワダツミの木」、「語り継ぐこと」。