松本幸四郎 かなわなかった叔父・中村吉右衛門との稽古 三回忌で思い語る
日テレNEWS
2021年11月に亡くなった二世中村吉右衛門さんの三回忌追善公演として、現在上演されている歌舞伎座新開場十周年『秀山祭九月大歌舞伎』。松本幸四郎さん(50)は、『土蜘』、『一本刀土俵入』に出演し、その両演目で初役(初めての演じる役)に挑戦しています。高麗屋を担う存在となった幸四郎さんに歌舞伎への思い、また息子である市川染五郎さん(18)について伺いました。 【画像】市來玲奈の歌舞伎花笑み 第16回・市川染五郎さん
■初めて演じる叔父の当たり役にプレッシャー
――今月は幸四郎さんの叔父・二世中村吉右衛門さんの追善公演となります。どのような思いで臨まれていますか? 「歌舞伎座で行われる9月の興行にはもともと“秀山祭”という名前がついていまして、私にとって曽祖父の初代・中村吉右衛門の芸道、功績をたたえるという興行です。なので、開催されることがありがたく、うれしいですし、叔父(二世・中村吉右衛門)の追善興行ということで特別な思いがあります」 ――今回演じる役について教えてください。 「昼の部では『土蜘』で“叡山の僧智籌 実は土蜘の精”を、夜の部では『一本刀土俵入』で“駒形茂兵衛”を勤めますが、どちらも初役。本当に大作で、傑作で…。叔父の当たり役の一つでもあるので、これ以上のプレッシャーはないと思います。それにもかかわらず、やらせていただくことを決断した僕の勇気を褒めたたえたいっていうか…(笑) 叔父の芸をお見せするには、今いる役者の体を通さなければできないわけなので、自分を通して叔父の芸を見ていただけることを目指して、このひと月は叔父をひたすら思い出しながら舞台に勤めたいです」 ――初役の難しさというのはあるのでしょうか? どのように稽古されていますか? 「叔父の『土蜘』にすごく憧れていまして、いつかぜひ叔父に習いたいと思っていたんですが、それがかなわずになってしまいまして。過去の叔父の資料や、叔父の台本をお借りすることはできました。台本に書かれているセリフの言い方や、形の絵、演じる気持ちが書き込まれていたりするので、それで勉強しているという感じですね。」 「もちろん見ている作品ではありますが、実際にそのお芝居に出ていないと分からない部分もあります。体力的な部分が多いですかね。“この役こんなに大変なんだ、苦しいんだ”と思うことがあります」