亡くなった母が私と兄にそれぞれの名義で「200万円」ずつ遺してくれていました。このまま全額もらっても贈与税はかからないのでしょうか?
親が亡くなってから、子どものために子ども名義で貯めていた預金通帳が見つかるケースがあります。 しかし、もし子ども名義だからとそのまま自分のものにしてしまうと、あとから税金申告が必要になる可能性があるため注意が必要です。今回は、親が遺(のこ)した子ども名義の預金通帳がなぜ親の財産なのか、また相続税の計算方法などについてご紹介します。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる?
親が管理していたお金は親の財産
自分名義の通帳であっても、自分がその存在を知らず親が管理していたのであれば、親の財産として扱われます。被相続人名義以外の財産は、名義にかかわらず、被相続人が取得等のための資金を拠出していたことなどから被相続人の財産と認められるものは相続税の課税対象となるようです。 つまり、自分名義でも亡くなった母親が入金し、管理していた時点で通帳は自分のものではなく母親のものです。ほかの相続財産と合わせて相続税の計算をする必要があります。 なお、自分名義だからと通帳をこっそり持ち帰り、相続税の計算に含めなかったときは、加算税として過少申告加算税が課される可能性もあります。持ち帰らず、相続人たちと情報共有しておきましょう。 ■加算税とは 加算税は、申告をきちんと行っていない方に対して本来の税金とは別に追加で課される税金です。 もし、最初に申告した金額が50万円、申告できていない残額が70万円(本来の相続税額は120万円)だとすると、過少申告加算税は「50万円×10%+20万円×15%」で8万円です。 なお、状況に応じて適用される加算税の種類は異なるため、もし申告漏れが発生して指摘されたときはどれが該当するのか税務署に確認しましょう。 ■相続税の計算方法とは 相続税は、亡くなった方が保有していた財産すべてを合算した金額が、基礎控除額を超えていると課される税金です。基礎控除額は「3000万円+相続人数×600万円」で求められます。 今回は、以下の条件と仮定した場合、相続税額がいくらか計算してみましょう。 ・相続財産は、子ども名義の通帳200万円を2人分と母親名義の預金500万円、2000万円の車、2000万円の家 ・相続人は子ども2人のみ ・税額控除は考慮しない ・法定相続分と同じ分け方で財産を相続する まず、相続した財産の総額は4900万円です。また、相続人が子ども2人なので基礎控除は「3000万円+600万円×2人」で4200万円になります。基礎控除額よりも相続財産が上回っているため、超えた700万円が相続税の課税対象です。計算方法については以下の通りです。 (1)課税総額700万円を法定相続人で分けて税額を計算 子どもA:350万×10%=35万円 子どもB:350万×10%=35万円 (2)それぞれの税額を合計したものが実際に発生する税額 35万円+35万円=70万円 なお、相続人にかかる税金は、この税金の合計額を実際に相続した割合で分割して求めます。今回の条件だと法定相続分と同じ分け方のため、半分ずつの35万円が1人当たりの税額です。 (1)で使用した税率は法定相続分に応ずる取得金額に応じて変動するため注意が必要です。