目指すは”金”もうけ!オリンピックはフェイクの祭典?今日から使えるフェイクニュースへの対処法
さて、メディアの話題はオリンピック一色ですが、実は世間やメディアがザワついている時期って、フェイクニュースが投下されやすい時期でもあります。すでにオリンピック関連で以下のようなフェイクが拡散しています。 この記事の他の画像を見る 「開会式の入場で、日本選手団だけが専用の船。他国は相乗りなのに不公平だろ」(実際は日本人もヨルダン、カザフスタン、ケニア選手団と相乗りだった) 「サッカー競技場で暴動が発生、車が破壊されている」(実際はベルギーで起きた別の暴動映像だった) いずれも意図的な切取りや関係ない動画の流用など、AIすら使っていない古典的な手口だったので、早い段階で「フェイクです」と指摘されていましたが、素直に信じてしまった人もいたようで。 残念ながらこういったフェイクニュースは今後も増え続けます。だって儲かるから。新型コロナでは陰謀論みたいな書籍がベストセラーになりましたが、あれ印税だけで数千万円レベルでしたからね。 能登半島地震で「ウソの救助要請」を投稿し、先日逮捕されたおバカさんがいましたが、その動機は「閲覧数」。X(Twitter)に「自分の投稿を多くの人が見ると報酬がもらえる」という地獄のシステムが導入されてから「閲覧数狙い」「バズり狙い」のフェイクが次々と投下されるようになり、もうホントに地獄なんです、が……
フェイクニュースには特徴がある!
幸いなことに大抵のフェイクには以下のような特徴があります。 ・誰も知らない ・許せない ・助けたい ・意外だ ・〇〇だったらいいなぁ、が実現 これらには共通点があるんですが、お気づきでしょうか。どれも「誰かに教えたい」=拡散させたい気持ちを強烈にくすぐる要素を持っているんです。 フェイクニュースは騙すだけじゃダメ。拡散されて初めて成功。拡散されなかったら単なるウソつき、意味がない。逆に言えば「誰かに教えたい」情報に出会った時には身構える必要があるということです。でも、どう身構えれば良いのか。 実はフェイクニュースを見破ろうとする行為はおススメできません。何しろフェイクはどんな分野にも湧いてくるので、それらを見破るには、各国の法律、医学知識、海外の論文を読み解く力、軍事情報……これ以外も含めた地球上の全ジャンルの専門知識を身につける必要があります。そんな超人いないでしょう。 だから「自分は騙されるかもしれない」と常に意識することが凄く重要になります。ちなみにこれ、フェイクニュースと戦うことをやめるとか、ファクトチェックを諦めるという意味では決してありません。 ただ単に「急いで見分けようとする」「白か黒かすぐに判断しようとする」をやめるだけ。フェイクニュースには即断したくなる、拡散させたくなる要素が山盛りなので、慌てて判断すれば騙される打率も上がる。だから「いったん判断を保留します」と手を止めるのです。ちょっと待とうと決めた瞬間、そこで拡散が止まります。 2~3日も様子見ていれば、ちゃんとその分野に詳しい人たちがSNSで殴り合って決着つけてくれるでしょう。それを待つのです。 ちょっと待つだけで、フェイクニュースは拡散されずに無力化できる。これは誰もが今日から始められるフェイクニュースとの戦い方です。 実は私たちって「自分が欲しい情報」しか見ないし、選びません。情報を客観的に見ているつもりでも、実は直感で自分が好む情報を選び、選んだ理由を後付けで探していたりします。 そんな状況でネットを眺めていれば、フェイクニュースや陰謀論に騙されるのも当然でしょう。フェイクが溢れる現代、人間は情報に対してそういう特性を持っているんだ、と知っておくことも重要です。 Text:小木曽健(国際大学GLOCOM客員研究員) ※本記事のタイトルはFORZA STYLE編集部によるものです。
小木曽 健