測量や災害対応に活用、浜松市が職員向けドローンパイロットスクールを開講
静岡県浜松市は市職員を対象にした小型無人機「ドローン」のパイロットスクールを開講する。行政の各分野で今後、ドローンを活用した取り組みが活発化すると見込まれることから、ドローンを操縦することができる職員を今のうちから育成し、ドローンを業務の中に積極的に取り入れていく方針。
パイロットスクールの開講に向けて浜松市は「ドローンシミュレーター」を導入、4月から操縦技術を身につけたい職員を広く募集する。スクールの講師は、ドローンの操縦技術を取得している市職員が行う。最初は座学やシミュレーターによる訓練を実施し、その後、天竜区内の廃校グラウンドを利用して実機による飛行訓練を行う予定だ。 浜松市は総面積が約16万平方キロメートルの地方都市だが、市全域の65%が都市部と山間部の間に位置する中山間地域が占める。4年前の2013年4月には同市天竜区の茶畑で大規模な地滑りが発生し全国的なニュースとなったが、同地区も中山間地域だ。
ドローンをめぐっては、2015年に首相官邸の屋上にドローンを落下させる事件が発生、同年12月に航空法が改正され、人口が集中する都市部の上空は、安全性を確保し許可を受けた場合のみ飛行が可能となり、規制されるようになった。 一方、中山間地域での飛行については規制の対象とはならないため、市では中山間地域でのドローンの活用を視野に、昨年7月、ドローンイノベーション会議を発足。同12月には地滑りが発生した天竜区の現場で、土木測量や孤立した集落に物資を届けることを想定した無線機等の運搬、空撮などの実証実験フライトを行った。今年3月に開かれたドローンイノベーション会議では、実証実験フライトの調査結果について報告が行われ、風や天候の変化への対応が課題として指摘された。 市によれば、測量や橋梁の点検、観光映像、災害時の状況確認など行政のさまざまな分野でドローンの活用が期待できるとのことで、中山間地域での活用を推進しつつ、合わせて職員のパイロット育成を図っていく方針だ。担当する市民協働・地域政策課では「ドローンを活用することで業務の効率化も期待できる。遊休施設の活用にもつながるのではないか」と話している。