劇的サヨナラ王手弾。鷹の4番・柳田はなぜ目覚めたのか?
広島の4番打者、鈴木誠也は3本のアーチを放っていたが、柳田は、ここまで不発。1打席1打席変わっていく内外の厳しい配球で封じ込まれ、会心といえる打球もなかった。「疲れています」の言葉に苦悩の跡がわかる。 だが、池田氏は、サヨナラ本塁打への布石は、ずっと存在していて、決して復活弾ではないという分析をしている。 「大事だったのは、4番として最低限の仕事をしていたこと。しっかりとボールを選んで四球でも出塁していたし、内容が悪くとも打点もマークしていた。彼の責任感と成長の表れだろう。広島バッテリーに厳しく攻められ柳田らしい派手な打球や一発がなかったから不振という目で見られていただけで調子は維持していた。だから復活というよりも、やっと柳田らしさを取り戻したと言ったほうがいいと思う」 徹底した内角攻めで封じ込まれた開幕戦でも死球、敬遠で2度出塁。1-5で敗れた第2戦も、シリーズ初ヒットと四球で2度出塁していた。福岡に戻ってからは、綺麗なヒットはなかったが、シリーズ初打点もマーク。二塁打が1本。バットの芯でとらえた打球は、前日のセンター前ヒット1本くらいだったが「4番の仕事」は果たしてきていた。この日も、5回一死満塁のチャンスに打ち損じたが、打球は、ヘルウェグのグラブを弾き、結果的に同点の走者を迎え入れる一打にしている。 研究され徹底マークを受けて苦しい精神状態に追い込まれる中でも、最低限の「4番の責任」を果たしてきたのが、柳田のこの1年の大きな進化。デスパイネが左膝に異常を訴えて、この日はベンチから離れた。また「4番の責任」が増した。それらがすべて、この劇的サヨナラ本塁打につながったのかもしれない。 工藤監督も「頭の中では打ってくれよ、という思いもあったんですが、まさかというか、さすが4番。ウチの中心としてシーズンやってくれただけのことはある。大きな試合で本当に大きな仕事をしてくれたと思います」と称えた。 柳田が眠りから覚めて勢いに乗るソフトバンクは、今日2日の移動日をはさみ、再び3日からマツダスタジアムに乗り込む。 工藤監督は「王手がかかったんで。あさって、日本一になります」と、2年連続日本一をファンへ約束した。 柳田も、いよいよ王手ですね?の質問に「あとひとつです。はい」と、うなずき、「明日からマツダへ行きますが、新幹線でも、車でも、ヒッチハイクでも来る手段はなんでもあります。広島で会いましょう」と、とぼけた“ギータ節”でファンへ呼びかけた。