「中東」進出の日本企業、443社 イランは26社進出 為替レートと政治・経済情勢に警戒感、情勢緊迫化で注視必要
日本企業の「中東地域13カ国進出」動向調査(2024年)
パレスチナを除く中東地域13カ国に進出する日本企業は、2024年8月時点で計443社判明した。進出国別にみると、最も多く進出が判明した国は「アラブ首長国連邦(UAE)」で289社に上った。特に構成国の「ドバイ」「アブダビ」両首長国で進出が多く、現地販売拠点のほか、石油・天然ガス資源の開発など資源関連企業で拠点進出が多くみられた。 次いで多いのは「イスラエル」(95社)で、テルアビブ市を中心に日本企業の進出が判明した。各種投資協定や経済連携協定などで日・イスラエル間の経済交流が活発化していることも背景に、先端半導体や製薬企業のR&D拠点、イスラエル国内のスタートアップへの出資・子会社化といった形での進出が目立った。「サウジアラビア」(78社)は、大手商社や金融機関が中心で、石油関連産業のほか、風力発電など新エネルギーの開発を目的とした進出が他地域に比べて目立った。 上位3カ国以外では、イスラエルとの緊張が緊迫化している「イラン」で26社の進出が判明した。カタール(26社)と同水準だったほか、サウジアラビアに次いで中東13カ国中4番目に日本企業の進出が多かった。イランへの進出では特に卸売業の進出が6割超を占め、同国産の農産物や手工業製品を日本へ輸出するための拠点として進出した企業がみられた。また、金融機関や商社などで情報収集を目的とした拠点進出も目立った。なお、内戦状態が続く「イエメン」への進出事例は、2024年8月時点で確認できなかった。
中東進出企業の懸念、最多は「為替レート」と「政治・経済情勢」 カントリーリスクに警戒感
帝国データバンクが2023年に実施した調査では、中東に進出する日本企業で海外進出・取引について回答のあった17社のうち、最も多く挙げられた課題は「外国為替レートの変動」と「進出先の政治情勢に関する情報収集」だった。「経済情勢」に関する情報収集が続き、人材の確保や、言語などカルチャー面での不安が上位だった回答全体と比べると、中東進出企業では政治的、特にイラン・イスラエル両国の緊張をはじめ同地域のカントリーリスクに対する警戒感がみられた。