スズキ、トヨタにインド生産のEV供給 電動車領域での協業深化 世界各国で順次投入
スズキは30日、SUV(スポーツ用多目的車)の電気自動車(EV)を、トヨタ自動車にOEM(相手先ブランドによる生産)供給すると発表した。2025年春からインドの工場で生産を開始し、世界各国で順次投入する。両社の協業関係深化の一環で、EVのOEM供給は初めて。 両社は2016年に業務提携の検討を開始し、覚書締結を経て19年に資本提携した。生産領域や相互のOEM供給などの協業を加速させ、車両は日本国内やインド、欧州、アフリカなどで導入されている。今回はさらに電動車の領域へ協業関係を深化させ、商品の選択肢と販路を広げる。 車両はスズキのEV世界戦略車第1弾として昨年公開されたSUVのコンセプト車「eVX」がベース。EV専用設計で、モーターなどのユニットや車台はスズキとトヨタ、ダイハツ工業の3社が共同開発した。EVに求められる一定の航続距離と快適な室内空間を両立した上で、一般道や悪路を含め力強い走りを実現する4WD(四輪駆動)も設定する。 スズキは30年度に向け、インドや日欧市場で順次EVを投入する計画や、競争環境が激化するインドで年間生産能力を拡大する方針を公表している。鈴木俊宏社長は「互いに切磋琢磨(せっさたくま)する競争者であり続けながら、社会課題解決に向けて協業を深めていく」とコメントした。 トヨタの佐藤恒治社長は「電動車分野での協業の新たな一歩を踏み出し、カーボンニュートラル社会に貢献する多様な選択肢を世界各国に届ける」とした。
静岡新聞社