織田信成、「盛り上がってほしいという思い」 マツケンサンバで首位発進、11年ぶり全日本出場へ好スタート【フィギュア】
◇2日 フィギュアスケート西日本選手権第1日(愛知・日本ガイシアリーナ) 男子ショートプログラム(SP)は2022~23年シーズンに現役復帰した10年バンクーバー冬季五輪7位の織田信成(37)=大阪スケート俱楽部=が82・04点で首位発進。今季のSP曲として使用する松平健の「マツケンサンバⅡ」で観客を魅了し、11年ぶりの全日本選手権出場へ好スタートを切った。 場内の歓声と手拍子が「マツケンサンバ」に乗った織田の動きに合わせて大きくなっていった。「この曲を選んだ時、一番はお客さんに盛り上がってほしいという思いがあった」。思いの通り、演技後の観客席は総立ちで織田をたたえた。 明るさと華やかさが特長のプログラム。織田が「鬼門」と語ったのは、冒頭の4回転―3回転の連続トーループだった。「決まらないと、マツケンサンバが盛り上がらない。そこをしっかり決めてお客さんを巻き込みたかった」。最初の試練で美しく着氷。GOE(出来栄え点)で1・66点の加点を獲得して勢いに乗ると、3本のジャンプをノーミスでまとめた。 9月の近畿選手権と比較して「体も絞れた感覚がある。体的にも締まった感じはある」という。理由の一つと語るのが、朝食のアサイーボウル。「体が浄化されたというか、元気になっている感じはある」。ベテランだからこそ、流行を積極的に取り入れ、力に変える。 今季限りで競技の第一線から再び退くことを表明している。「僕は大阪出身のお笑い寄り。自分の好きな曲や、表現する楽しさを感じてもらえれば」と後輩へ託したい思いを明かした。今季の全日本選手権は地元・大阪開催だが、「出られたらこれが最後になる。家族も見に来ると思う。僕が死ぬ時に『あの時、頑張ってたな』って手を合わせてもらえるような演技ができたら」。氷上のエンターテイナーは一歩ずつ歩みを進めていく。
中日スポーツ