つんく♂楽曲のすべてに通底する「本質」とは何か?「LOVEマシーン」も「ズルい女」も根本は同じ
そんなことも体験したうえで考えます。「全然天才ではない普通の子、学校のクラスにいるような子たちがアイドルとしてどんな歌を歌う(踊る)ことがベストなのか」に頭を集中させました。 だって当時のモーニング娘。に「バキバキ踊って、ガンガンハモって、3オクターブの音域で歌ってほしい」とか、そんなことは誰も求めていなかったし。 ■「LOVEマシーン」はダンスというよりは“振り付け” 僕自身も超テクニック系のミュージシャンというわけではないから、当時の僕が持っていた知識の中で、「ちょっとおしゃれで、なんとなく微笑ましくって、なんか聴いたことある身近な感じで、ノリもよく、ダンスというよりはいい感じの“振り付け”で、数人集まったらとりあえず歌っとく? みたいな曲」として作り上げたのが「LOVEマシーン」です。
今のようにインスタグラムやユーチューブがあったらもっともっとバズったかもしれませんが、それでも当時、ビデオを観て、みんなが真似してくれましたね。 「LOVEマシーン」以前のシングル曲も踊れて歌えるんですが、一般の人たちにとっては僕が思っていた以上に、まだまだマニアックな部分があったのかもしれません。音楽通には受けていたので、自分としては納得していたんですが、お茶の間には届かなかったかもしれません。「LOVEマシーン」はその扉を一気に開けてくれました。
――中学生がまねしたり、カラオケで最後に皆で歌ったり。当時を振り返ると、「LOVEマシーン」は確かに親しみやすい曲でした。個人的には「サマーナイトタウン」や「抱いてHOLD ON ME!」が好きだったりもしたのですが。 それまでの曲と比べて、「LOVEマシーン」では音がちょっと懐かしくなったというかアナログの風味が出たんです。それまでとは違うアレンジャーに入ってもらって、彼の得意な70年代のディスコミュージックの匂いを思いっきり出してもらいました。