大鰐線、存続条件満たせず 弘南鉄道(青森県) 沿線自治体側、目標値の見直し検討
弘南鉄道(本社青森県平川市)の大鰐線(大鰐-中央弘前)の2023年度営業損益が1億3068万円の赤字となり、中長期計画の目標値を約3千万円下回ったことが21日、分かった。路線存続の条件である営業収支の改善は達成できなかったが、財政支援をしている沿線自治体側は、長期運休やコロナ禍による乗客減などで存廃判断の前提が変わったとして、目標値などの見直しを検討する考えをあらためて示した。 同日、平川市の津軽みらい農協会館で開かれた同社の株主総会終了後、成田敏社長らが取材に答えた。営業損益の悪化は、昨年8月の脱線事故やレール摩耗見落としなどによる2カ月半の運休などが原因という。 成田社長は「(収支改善できなかったことは)会社の責任。お客さまがいる限り運行を続けたい気持ちはある。沿線自治体と話し合い、方向性を決めていきたい」と答えた。 弘前市の羽賀克順地域交通課長は取材に「脱線事故や長期運休、収支の悪化を会社として受け止めていただきたい」と指摘した上で「コロナ禍もあり(中長期計画の目標値と)単純に比べられない状態。運転再開後の営業成績や、コロナ禍がなかったらどうだったかなどを分析したい」と述べた。大鰐町側とも協議を重ねるという。 23年度の利用者は大鰐線が前年度比17.4%減の27万1777人、弘南線(弘前-黒石)が同3.3%減の101万1877人。弘南線の営業損益は9662万円の赤字だった。 社全体の経常損益は2億3310万円の赤字で、赤字幅は過去最大。国や県、両線の沿線5市町村(弘前、黒石、平川、大鰐、田舎館)の補助金2億4362万円や特別損失などを加えた当期純損益は3560万円の赤字だった。 株主総会では、現在10%減額している役員報酬を7月から20%減とし、株主優待乗車証を25年度から廃止することも報告された。