赤坂ドリブンズの“母”浅見真紀 怒涛の1年目「何これ!?超楽しい!」2年目の目標は「プラスポイントでシーズンを終えたい」
新加入してすぐに“チームの母”というポジションになれるのだから、そのコミュニケーションスキルは類稀なるものがあるはずだ。「プロ麻雀リーグ」Mリーグ・赤坂ドリブンズの浅見真紀(最高位戦)は、同じ最高位戦の先輩・後輩の男性3選手の中に飛び込み、チームの雰囲気をガラリと変えた人物だ。1年目から「何これ!?超楽しい!」と、Mリーグという大きな舞台を満喫しながら、チームのムードを高め、準優勝に導いた。2年目も「ちゃんと説明できる一打を打つ」と、冷静に卓に向かいつつ、さらに上を狙う。 【映像】上機嫌の浅見は飛び跳ねながら「ウィッシュポーズ」 ―チームは準優勝。個人としてはレギュラーシーズン、▲107.2だった。自身での自己評価はどうか。 浅見真紀(以下、浅見) 序盤は好きなように自由に打てました。分からないことだらけでしたので、どういう風な選択が一番マッチしているのか、このステージに何が一番最適な選択なのか分からないまま、とりあえず自分が思うように打ってみよう、という感じでスタートしました。中盤くらいで結構、良い成績だったんですよね。(プラス)3ケタくらいまでは行っていて、終盤で崩れたな、という印象が残っています。 崩れた原因としては、考え過ぎたところがあったり、自由さを失ってしまったような印象が自分の中ではあります。普段、鳴ける牌が鳴けなくなってしまったり、押せる牌が押せなくなってしまったり。技術的よりもメンタル的なものが影響したような気がします。シーズン終盤に連続ラスを引いてしまったりもしたので。ただ、良い時も悪い時も1年目で経験できたというのは、2年目に備えたことを考えると、今は良かったのかな、と思っています。 ―元々持っていたMリーグのイメージと、リーグの中で過ごした1年でのギャップはあったのか。 浅見 「もっと緊張するかな」とか、「もっとプレッシャーがすごいのかな」とか。私は外からMリーガーである先輩たちをたくさん見て、お話をしてきたので、みんながすごい重圧の中で戦っているんだな、という印象を持っていましたが、私は性質的に能天気なところがあるので、入ってみたら「何これ!?超楽しい!」みたいに、朗らかに過ごせたなと思っているので、そこがギャップではあると思います。 ―他のメンバーを盛り上げていると、見ている側の人は強く思っていたりするが、どちらかと言えば、本人が楽しんでいた。 浅見 チームメイトを意図して盛り上げようとか、意図してフォローしていこうと思ったことは、あまりないですね。私から見たチームメイトも、楽しそうではあったので。という表現だと語弊があるかもしれませんが、このステージで打てることに喜びを感じて切磋琢磨していることがプレーヤーとしては、すごく楽しいことだと思うのでその意味で。そういう風に見えていたからこそ、私も楽しめたし。相乗効果というか、チーム内のそれぞれが前向きでいられたので、私がどうこうというよりも、みんなのおかげのような気がします。 ―トップを取ると、ルンルンして帰ってきた。 浅見 「いえーい!」と迎えてくれることが分かっていたので、「いえーい!」と帰ろうかな、というところがありました(笑)。 ―ドリブンズの雰囲気が変わった。 浅見 前の雰囲気が分からないんです。私が視聴者だった時は、本当に麻雀だけを見ていたんですよ。プレーヤーとしての目線で「この人は何を切るんだろう」みたいな。麻雀として見ていただけなので、チームがどうこうという目線で、あまり見ていなかったこともあります。前のドリブンズとの違いを結構、言われますが、「そうなんだ」みたいに、あまり実感はなく過ごしていますね。 だからたぶん、雰囲気がどうこうということに関しては、園田とかたろうの方が感じているかもしれませんが、私と太は分かりかねているところがあると思います。 ―チームは全員、最高位戦のメンバー。その中でも渡辺太選手が一番後輩。渡辺選手に関しての、何かケアはあったのか。 浅見 してたかな?2人ともMリーグ1年生だったので、お互いに「分からないね」と共有したりとか、「これ、次はどこに行けばいいんだろう」とかを、同じ目線で共有していました。あとは、私はMリーグスタジオに行ったことがあったから、「ここがトイレだよ」と教えてあげたりしていました。(最高位戦の)入会期は違いますが、太は実績を残している人で、私はそこに対して大きな尊敬をして接していたので、「後輩だから」という感じのことは、あまりしたつもりがなくて、申し訳なかったです。 ―浅見選手がいたことで、違ったとは思う。 浅見 それは、お互いにそうだと思います。私も1人でMリーグに入っていたら疎外感もあったかもしれない。同じタイミングで入ったので、「Mリーグってすごいね」みたいな話を帰り道に一緒にしていました。道中、一緒に歩きながら「あのチームって、こうだよね」とか、「Mリーグだと、この打牌はどうなんだろうね」とか。1年生同士の摺り合わせみたいなところができていて、そういう意味で太の存在はありがたかったですね。 ―開幕を控えて、1年を踏まえての準備は違うのか。 浅見 去年は雲の中にいるような感覚だったところが、今年は経験を持って臨めるので、練習もスタートさせているところではあります。自分で思うプレーの選択に関しては、地盤が去年より多少はできているので、方向性を掴むとか、そういう目線で考えるとショートカットができているはずです。 なので、チャレンジ精神を持って練習しています。「今日はちょっと攻撃的に打ってみようかな」とか、「守備的に打ってみようかな」とか。それが本番での方向性を定めるのに直結すればいいな、と思っていますが、準備がどうかと言われると難しいですね。やっていることは麻雀を打って、人の手牌を見て、考察するというところでは、去年も今年もやっていることは一緒。地盤が違うかどうかくらいだと思います。 ―シーズン中の過ごし方について。私生活も1シーズンを経験すると変わってくるか。 浅見 それも去年を経験したので、何となくの目安は付いています。「この時はこう」「この試合の時は、こうなるはずだ」「次の日の過ごし方は、こう時間がずれる」ということは分かったので、そこは、あまり心配していないです。プライベートに関する大きな準備は、私はしていません。去年と同じようにしようと思っています。 ―新シーズン、具体的な目標は。 浅見 去年は1年目なので数字を挙げませんでした。チームに必要な人間になる、みたいなことを目標にしていましたが、1年戦って、終盤私だけマイナスポイントで、シーズン最終戦に「浅見がトップを取れば、チーム4人がプラスになるから」と連投させてもらいました。そこで、ちょんちょんに負けて帰ってきましたが、そういう風に思ってもらえるというか、チームのメンバーも自分が打ちたいはずなのに、「浅見が行って来たら、みんなプラスでシーズンを終われる。行って来い!」とシーズン初めての連投をさせてもらったことはすごいことだな、と思いました。 私がもっとプラスできていたら、もっとチームのポイントが有利な状態でセミファイナルを打てたかもしれないと考えたので、敢えて言うなら、プラスポイントでシーズンを終えたいな、という風には思っています。ただ、そこに拘り過ぎて麻雀の本質を見失ってしまうのが一番良くないと思っているので、裏テーマみたいな感じですかね。そこが一番の目標ではなくて、とにかく良い麻雀を打って、ちゃんと説明できる一打を打って、チームメイトが納得できるような内容で控室に帰る。それが結果、終わった時にプラスであることが一番の理想かな、と思っています。 ―鈴木たろう選手は浅見選手を「ドリブンズの母」と言っていた。3人と過ごしてどうだったのか。 浅見 たろうさんと園田さんは付き合いも古いので、ある程度は「こういう人間性だ」ということは分かっています。それで迎え入れてくれていたので、2人には雑に接していました。それでたぶん「母」と言われているのかも。「うるせー!」「靴、履いて来いよ!」と言ったりとか(笑)。そういう振る舞いが、たろうさんから見ると母という表現になったのかもしれませんね。 あの歳になって大先輩で実績もあるので、そういう風に扱われることがないんですよ。「たろうさん、たろうさん!」とみんなに尊敬されているので。そんなたろうをちょっと雑に扱う、みたいな。もしかしたら、嫌な思いをしていたかもしれませんが、そう言ってくれているなら良かったな、と思います。 太はドリブンズに入るまでは全然絡みはありませんでしたが、弟っぽいじゃないですか。後輩気質というか。「はい、はい!」みたいな感じで、可愛かったですね。 ―デザイン系の大学院出身。自分のチームでグッズを作るなら、何を作るか。 浅見 えっ!?めちゃくちゃ難しい。グッズを作るなら?選手カラーが違い過ぎて、4人の共通は麻雀しかないんですよ。生き方も、やっている仕事も、考え方も。考え方は、麻雀によっては近いところがあるとは思いますが、日常の過ごし方も違うので。それぞれに特化したものを出すのが一番いいな、とは思います。 たろうさんは痩せそうなやつ。小さい丼とか。丼だと食べてしまうので。園田さんはデジタル系の新しいもの、コードとかが好きなので、「ジャックの部分がこうなっていて、こうなんや!」と自慢してくるので、電子機器周りをうまくまとめるやつだと彼は喜ぶ。そういうものを出すことで、ファンにも「この人は、こういうのが好きなんだ」と伝わるじゃないですか。太はネット麻雀の人なので、いいマウス。投げても壊れないような。 ―渡辺選手は、マウスは投げない。 浅見 投げないと思います。だけど、太に憧れてネット麻雀を始めた人たちは最初、投げちゃう人もいるかもしれないので(笑)。私はいいタンブラーにします。お酒がずっと飲み続けられるいいタンブラー。手が冷えないやつにします。 ◆Mリーグ 2018年に全7チームで発足し、2019-20シーズンから全8チーム、2023-24シーズンからは全9チームに。各チーム、男女混成の4人で構成されレギュラーシーズン各96試合(全216試合)を戦い、上位6チームがセミファイナルシリーズに進出。各チーム20試合(全30試合)を戦い、さらに上位4チームがファイナルシリーズ(16試合)に進み優勝を争う。優勝賞金は5000万円。 (ABEMA/麻雀チャンネルより)
ABEMA TIMES編集部