『疑似ハーレム』が“ラブコメレース”の中で一番乗り ニヤニヤが止まらない告白の神回
毎週、「ほとんどの作品を観ている」アニメライター・はるのおとによる週刊連載「【アニメ】神回・オブ・ザ・ウィーク」。8月12日から8月18日に放送された分から注目の“神回”をピックアップ!(編集部) 【写真】『【推しの子】』最新話場面カット 「今年の夏はラブコメ(や恋愛もの)が多い」とこの連載を含めいろんな媒体で何度か言及していますが、それにあてられてか『よあそびぐらしっ!』まで「とりあえずヤッとこう!」といういつもの僧侶枠のノリではなく、真剣に恋愛劇をしていて仰天するばかり。先の読めない『負けヒロインが多すぎる!』『恋は双子で割り切れない』や相変わらず独自の作風で魅せる『義妹生活』などを中心に、やはり今期はラブコメが熱いなとクールの中盤に入って改めて感じているところです。 というわけで、今回はラブコメアニメの神回を紹介します。
いい話だけど、このあと何するの? 『疑似ハーレム』第7話
マンガのようなハーレム状態に憧れるお馬鹿な男子高校生・北浜瑛二先輩と、彼に思いを寄せるあまりつい“キャラ”を演じてしまう演劇部のホープ・七倉凛による恋愛が展開する本作。これまではツンデレちゃんや小悪魔ちゃん、クールちゃんなどのキャラを瞬時に演じ分ける早見沙織さんの“さすが”っぷりが楽しさの中心だったものの、先輩が学校を卒業する本エピソードで、今期ラブコメレースの中でもいち早くゴールに達しました。 そもそもこのふたり、いつもふたりで出かけたりおやすみ電話するほどなので両思いなのは自明でしたが、先輩が卒業するにあたって凛がけじめとして改めて告白しようとするというのが今回の話。演劇部の送別会として白雪姫モチーフの演劇をするなか、アクシデントで死体役の先輩と姫役の凛がキスしてしまうくだりもニヤニヤ度が高いですが、白眉はやっぱりその後の告白に至るまでの流れ。 渡り廊下で合流したふたりが冗談っぽく出会った時の会話を再演するのですが、ここで廊下の床をステージに見立てるようなカメラアングルになり、ふたりのイチャイチャ劇を見る本作にふさわしい画で展開されます。今期『【推しの子】』が2.5次元舞台でやっていることと同じなのですが、学校という舞台でそれを自然にやった本作の見せ方もまたいいなと。そしてそんな寸劇ののち、凛はキャラではなく自分として先輩に告白……したようです(そこを雰囲気でぼかしてしっかり見せないのもよかった)。 とまあ、こんなふうにとてもいい話ではあったのですが、まだ第7話。今期のラブコメの進み具合を見るに“付き合ったあとの話”をするのは本作だけになりそうですが、今後は学校外も含めてイチャイチャ劇の舞台になるのでしょう。それだけに晴れてカップルになったふたりが今後の話を教室から一歩だけ出たベランダでするのも、そこから校舎だけを映す特殊エンディングに入ったのも含めて美しいエピソードでした。