31点差の圧勝で皇后杯11連覇に王手、ENEOSの星杏璃に芽生える強い責任感「自分がプレーで引っ張っていかなければいけない」
ENEOSの中心選手としての意識「自分が攻めることで仲間が空くと思っている」
渡嘉敷とともに快勝の原動力となったのが、17得点5アシスト4リバウンド2スティール2ブロックを記録した星杏璃だ。。第2クォーター中盤には3ポイントシュートを決めた直後、前からの激しいプレッシャーでスティールし、味方の速攻をアシストして均衡状態から主導権を奪う立役者になった。また、3ポイントシュートを5本中3本成功と高確率で沈めるなど、要所での活躍が目立った。 「自分たちのペースで第1クォーターの最初からプレーできたのが良かったと思います」と試合を総括する星は、自身のパフォーマンスについてこう振り返る。「3ポイントに関しては、相手がすごくケアしてくると言われていました。それでも仲間がドライブからキックアウトの良いパスをくれました。私は思い切って打つだけで、それが入ってくれたので、自分の波に乗れたと思います」 今シーズンの星は、リーグ戦直前に行われたアジア競技会の決勝をコンディション不良で欠場した影響もあってか、Wリーグ開幕当初は本来のプレーを見せられずにいた。だが、「リーグの最初はシュートタッチが良くなく、身体のキレも上がっていない感じでしたが、今はタッチやドライブのキレも良くなってきていると思います」と語るように、ここに来て彼女らしい鋭いドライブと、クイックリリースからの長距離砲を繰り出している。実際、準々決勝の白鷗大戦も3ポイントシュート6本中5本成功で19得点と、見事なパフォーマンスを続けている。 去年も主力メンバーの一人だった星だが、経験豊富な先輩たちについていく存在でもあった。しかし、今秋のアジアカップで日本代表としてFIBA国際大会デビューを飾り、アジア競技会と2大会連続で代表の一員としてプレータイムを確保するなど、名実ともに国内トップ選手の一員となったことで、ENEOSにおいても中心選手としての強い自覚を持ってコートに立っている。 「(先輩に)ついていく、という考えは全くないです」と、星は言い切る。「自分がプレーで引っ張っていかなければいけないとすごく感じています。自分からもっと得点に絡んでいく。自分が攻めることで仲間が空くと思っているので、思い切ってプレーするだけです」 11連覇をかけた明日の決勝の相手はデンソーアイリスだ。ベスト8のトヨタ紡織戦を72-43、準決勝の富士通戦を85-63と堅守が光る相手で、髙田真希がいることで渡嘉敷が今日のようにゴール下でアドバンテージを簡単に得ることは難しい。だからこそ、星が持ち味のドライブで守備を切り崩し、攻撃の起点となっていくことがENEOSの勝利にはより必要となってくる。
鈴木栄一