濱口竜介監督の最新作で主演に抜てき 「本業は映画スタッフ」34歳の元ドライバーは何者か
映画界に足を踏み入れたきっかけは?
映画界に足を踏み入れたきっかけは2012年、渋谷の焼肉店での出来事だった。 「友達と飲みながら、みんなで映画の人物のモノマネをしたり、『付き合うなら、映画の誰?』と学生みたいな話をしていたら、たまたま隣にいた大森立嗣監督から声をかけられたんです。公開中の『ぼっちゃん』(2012年)を見に行って、ビラ配りを手伝いました。その3年後に大森さんにドライバーとして現場に呼ばれたんです」 その後は知り合いも増え、映画の制作部、演出部のスタッフが本業になり、自身の初監督作品『義父養父』のメガホンも取った。 「スタッフをやっているうちに、自分の映画が撮りたいと思ったんです。一番大きなきっかけとなったのは、濱口監督の『偶然と想像』の現場スタッフとしての経験かも知れません。少人数のスタッフで、無理なく現場が成り立っている。それで出来た映画も面白い。映画は非日常的なモノだと思っていましたが、スタッフは電車移動で現地解散。日常の中に映画があるという印象を受けて、面白いと思いました」 『悪は存在しない』の主演で人生が一変したのではないか。 「どうでしょう、これから実感して行くかも知れません。今後も、制作する側で続けられたらと思っていますし、機会があれば、次は長編も撮ってみたいと思っています」。濱口監督作品の演出を受けた大美賀が、今後、どんな作品を作り出すのかも期待したい。 ■大美賀均(おおみか・ひとし)1988年10月14日、栃木県足利市出身。桑沢デザイン研究所卒。助監督として大森立嗣監督『日日是好日』、エドモンド・ヨウ監督『ムーンライト・シャドウ』等に参加、濱口竜介監督『偶然と想像』では制作を担当。2023年、自身の初監督中編『義父養父』が公開された。
平辻哲也