秋の味覚満載。スイーツ好きなら知っておきたい、八王子にあるイタリアンジェラートの名店
そもそもシチリアでは品質を守るためピスタチオを2年に1度しか収穫しないが、中でもブロンテ村のエトナ山の溶岩が冷えて固まった肥沃な土地で、1300年前にアラブ人から伝えられたという伝統的な栽培法で作られたものは、甘みとコクが強く「ブロンテ産ピスタチオ」として希少価値が高い。
ピスタチオのジェラートというと鮮やかな緑色を思い浮かべるが、それらは色素や発色剤を施した原料を使っているため。こちらでは無添加の原材料を用いているため、くすんだ緑色となっている。
実食してみると、濃厚で、香ばしくコクと甘みがあり、皮を剥いて食べるピスタチオそのものの自然な味わいで、思わず、ウイスキーかバーボンを合わせたくなってしまう。ミルクとピスタチオの味わいのコントラストを楽しんだら、是非2つを混ぜ合わせて味わってほしい。 優しくコクのあるうまみが口中に広がっていくだろう。
【ご褒美スイーツその④】3つの味のジェラートをブレンドして作り上げる逸品「ネモリーノ」
「ネモリーノ」は、「愛の妙薬」というオペラで、美しい村娘に恋する主人公の青年の名。あえて3つの異なる味わいを合わせることで新たな1つの味わいを生み、それに固有の名前を与えた同店オリジナルのジェラートの1つ。「ココナッツミルク」「チョコレート」「ピスタチオ」の3種のジェラートをブレンドしているのだ。注文すると、ジェラート用のヘラで3種のジェラートをすくった後、適度に混ぜて盛ってくれる。
お店の方は均等にすくってくれるが、3種の比率は微妙に異なるし混ぜ方もその場限り。どこをどのように食べるかで、毎回味わいが異なるのも楽しい。同じ人間でもその時々で異なった表情を見せるのと似ている。
全体としては、個性の強い「チョコレート」と「ピスタチオ」を穏やかな「ココナッツミルク」がまとめているイメージだが、一口ごとに味わいが異なり、単品でも最後まで食べ飽きない逸品に仕上げられている。食べる部分により、さまざまな表情を見せるジェラートを是非味わってほしい。
日本におけるイタリアンジェラートの先駆者が店主の名店「ダ ルチアーノ」
最後にお店の概要を紹介したい。ダ ルチアーノは、1999年創業。現社長で、創業者の植木耕太氏は元々イタリアのアイスクリーム専門機械メーカーの営業職に就いていた。1983年、イタリア大使館の依頼で東京の老舗有名百貨店でイタリアンジェラートを紹介。これがきっかけとなり、イタリア人ジェラート職人のルチアーノ・チェキネロ氏とともに日本全国で講習会や開店指導を行う。自らも研鑽を重ねて「グランドマエストロ」となった、日本におけるイタリアンジェラートの先駆者だ。1999年に独立し自身の会社を設立、お店をオープンした。