ウソだろ!? 片山晋呉は7番アイアンも抜いちゃったの? レギュラーで戦うために7Uを投入「最高の球が打てる」
悪天候により36ホールの短期決戦になった国内男子ツアーの「フジサンケイクラシック」。51歳の片山晋呉はツアーナンバー1のモンスターコースを相手に「71」、「68」のトータル1アンダー・16位タイでフィニッシュした。「これならレギュラーツアーで戦える」と明るい表情の片山は新しい武器を手に入れたようだ。 片山が7Iの代わりに入れた7Uはこんなやさしい顔なの!? 片山の美しいスイングもお届け【写真】 片山のキャディバッグを見ると、ウッド系のヘッドカバーの数が多い。7月のトーナメントからミニドライバーを投入いていたが、ティショットで刻むところが少ない富士桜CCでは、ウッドはドライバー、4番ウッド、7番ウッドで構成。ユーティリティは4番、5番、6番、そして7番…ん? 4番から6番まではこれまで通りだが、なんと7番ユーティリティが入っている。 その下のアイアン群を見ると8番、9番、PW、50度、54度、60度。ついに7番アイアンを抜いて7番ユーティリティにチェンジした。4番から6番のユーティリティは変わらずピン製のものだが、7番はキャロウェイの『パラダイム Aiスモーク』。ロフト30度を31.5度ほどに寝かしている。 投入のきっかけは前週行われたシニアの試合だった。「シニアの試合に行ったら使っている人がいて、試しに打たせてもらったら一発目から『何これ』っていう最高の球が出て、7番アイアンの代わりはこれだと」。とにかく球が高い。硬く締まったレギュラーツアーのグリーンでも十分に止められる。雨の富士桜CCではボールがグリーンに埋まることもあった。 試打をしてすぐに実戦投入。実際に使ってみると「7番アイアンだとがっちりいったときにちょっと左があるんだけど、これはない。ピンの左だけ向いておけばいいから。ラクですよ。ちょっと武器ですね。7番ウッドを初めて入れたときの衝撃です」と話す。 片山晋呉の7番ウッドといえば、ゴルフ界を変えた歴史的な出来事である。片山がプロ入りして間もない1990年代後半。丸山茂樹と深堀圭一郎と同組の試合でのこと。200ヤードほどのパー3で、二人はグリーン上でボールを止められたが、片山は同じところに落ちてもコロがってグリーンを出ていってしまった。 この1ホールで片山は「絶対にこの2人には勝てない」と感じた。3番アイアンや4番アイアンで打つ200ヤードの距離は片山にとって“弱点”だった。探求心の塊の片山は当時、唯一7番ウッドを入れていた元賞金王のデビッド・イシイと話をして、7番ウッド投入を決意した。 やさしく高さの出せる7番ウッドは片山のゴルフを変えた。グリーンに止められないロングアイアンではボギーになることが多かったが、7番ウッドならグリーンに止められるためバーディチャンスにつけられる。 「今まで弱点だった200ヤードの距離が得意距離になった」。その後はショートウッドを駆使して国内では通算31勝、賞金王5回。海外では「マスターズ」や「全米プロ」で4位に入るなど活躍。周囲のプロもショートウッド派が増え、今では7番ウッドを入れるのは当たり前になってきた。 レギュラーツアーでは7番アイアンで止めることを難しく感じてきた片山。7番ユーティリティは、7番ウッドを入れたときと同じ感覚だという。「レギュラーツアーではもう7番アイアンはいらないね。なんなら8番もユーティリティにしたい。そしたらアイアンが(9番)1本になっちゃうね(笑)」。思わず笑い声も出ちゃうほど、最高の武器に出会った。国内外問わず男子プロで7番アイアンを抜いたのはおそらく初めてだろう。アイアンが9番だけになる日も近いか。 ◇ ◇ ◇ 松山英樹は精密なアプローチショットで寄せワンを取る。関連記事【松山英樹は、超難しいバンス0度の60度ウェッジをフェースをマン開きで打ってるの?】を読めば、その正確な技術の秘密がわかる。