経営危機を救え!日本プロボク協会が約1億円予算で加盟ジムに一律30万円支給の補償…「本当に助かる」と切実反応
全国のプロボクシングジムを束ねるJPBA(日本プロボクシング協会)の臨時理事会が7日、オンラインで行われ、新型コロナウイルスの対策補助金として条件付きで全国の各加盟ジムに30万円を支給することを決定した。JPBAはすでに4月に10万円の補助金を全国282のジムに緊急支給しているが、今回は政府の「緊急事態宣言」の延長によって休業が続き、経営危機に陥っているジムを救済するための追加措置。また3、4月の興行が中止となったプロモーターに対しても会場キャンセル料に、ポスター、パンフレットなどの印刷費の補助を上乗せして最大30万円を限度に補償金を給付することも決定した。さらに協会として、政府、自治体に対して補助金の給付要請などの働きかけを行うことも承認された。プロボクシングの灯を消さないために…業界は一致団結して懸命の努力を続けている。
自治体の休業要請に協力していることが給付条件
仲間のためには血も流す。 JPBAが、協会に加盟している全国のジムへ30万円の追加補償金の支給を決めた。 4月初旬に緊急支給した10万円の補償金は、無条件で全国282の加盟ジムに支給されたが、今回は(1)ジムの営業実態がある(2)自治体の休業要請に協力して休業している(3)振り込み口座名義がジムの代表者であるーーの3つの要件を満たすことが条件とされ、それぞれが自己申告の形で申請。JPBAがチェックした上で「スピード感を持って」支給処理を行うという。 この日のオンラインによる臨時理事会は予定時間の1時間を軽くオーバーした。 JPBAが提案した30万円の金額に関してではなく、「経営状態や規模はジムによって違うのに一律でいいのか」、「条件の休業要請に従ったか、従っていないかをどうチェック、判断するのか」、「ジムより興行主への補償をもっと考えるべきでは?」などの意見が飛び交って議論が長引いた。 予算規模は比較にならないが、政府の国民への給付金が10万円であることを考えると、JPBAが決断した30万円の額は決して小さくはない。正直、その手厚い手当てに驚いた。 もし30万円を全国282の加盟ジムすべてに給付するとなると8460万円が必要で、すでに支給した最初の10万円の補償金と合わせ1億1280万円の大出費になる。決してJPBAの財源は潤沢ではない。加盟ジムからの協会費、加盟金、健保金などの積み立てが、30万円給付の原資だが、新田渉世事務局長(川崎新田ジム会長)は、「(財源は)かなり厳しいが、100年に一度のボクシング界の存続を脅かす危機。みなさんの合意を得てなんとか拠出する状況」と説明した。 全国のジムの多くからは「もう持たない」との悲痛な声が届いている。 ほとんどのプロジムの経営形態は、一般会員の会費と、年に数回の興行、スポンサーのバックアップによって成り立っている。休業することで会費収入がゼロとなり、興行中止でボーナス的な収入もなく、一方で、家賃、光熱費などの固定費に加え、トレーナーなどの人件費が出ていく状況。経営難に陥るのも無理はなく、JPBAが決めた30万円の追加給付は、まさに”地獄に仏”の救済措置だ。 アマ転向したものの、再度、プロ復帰した元ミニマム級の世界主要4団体でベルトを巻いた高山勝成(36)が移籍した大阪の寝屋川石田ボクシングクラブの石田順裕会長も、「30万円の追加補償? そうなんですか。めちゃくちゃ嬉しい。本当に助かります」と、声を弾ませた。石田会長は元WBA世界スーパーウエルター級暫定王者で、IBF世界ミドル級王者のゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)と対戦経験がある。